課題7 ネームの感想 「作者自身と同じ欠点を持つ主人公に、何が起きてどう行動すれば解決できるかを考えて主人公を救済する」
課題7「作者自身と同じ欠点を持つ主人公に、何が起きてどう行動すれば解決できるかを考えて主人公を救済する」のネームの感想です。
あい乙いなびこさん『背徳感』
悪いことが、ケーキを食べるというかわいらしいレベルで、ほのぼのとしてよかったです。4コマ目の主人公が、かわいらしくていいですね。背徳感という大仰な言葉と、していることのかわいらしさがギャップがあって、おもしろいと思いました。もう少し、背徳感という切り口で、主人公の色々なことをするのを見てみたいと思いました。
藍銅ツバメさん『たりないメイドの砂糖漬け』
怒るのが旦那様ではなくて、執事なのがゆるくて、おもしろいです。高いツボを壊された旦那様も「それは大変だねえ」とのんきな様子。このまったりとした空気が、この作品の大きな魅力になっている感じがしました。5ページの旦那様のセリフ「知っているのは風だけだろうね・・・」が、妙にロマンティックなごまかし方で、おもしろかったです。メイドメモに、メイドさんと印章指輪の絵が描かれているのもかわいらしくて、とてもいい味になっていると思います。キャラクター同士のやりとりが楽しいので、違う話を色々読みたくなりました。
大須賀健さん『元カノForever』
3ページの3コマ目で召喚されたことに引いている破壊神で、この作品の雰囲気がよく伝わってきました。4ページ~6ページくらいまでは主人公に同情できて、ちょっと破壊神が厳しいなくらいに思っていましたが、7ページ6コマ目でしっかり大きく強調されている「5年前」のセリフは予想外で、このセリフを境に主人公への印象がガラッと変わっておもしろかったです。破壊神の方にちょっと共感しました。思い出の品を壊された主人公がかわいそうな気がしましたが、13ページの破壊神のセリフ「たいした思い出ねーじゃねえか」が、容赦がなくておもしろかったです。そして、そう言いたくなる破壊神の気持ちも分かるくらいに、思い出にロマンティックさがちっともないのが、いいですね。
やながわけんじさん『たまご焼き』
17ページで、涙を流しながら走るなっちゃんの顔がだんだんとアップになっていくにつれて、こちらの感情も、だんだん引き込まれていくようでした。18~19ページで卵焼きをつくるシーンと、20ページ1コマ目のなっちゃんの表情には、グッと心動かされました。24ページでのなっちゃんと麻衣ちゃんの電話での会話がとてもよかったです。二人が、本当に分かりあえたような、そんな感じがしました。最後のコマの笑顔のなっちゃんと麻衣ちゃんが深く心に残りました。柔らかな笑顔のなっちゃんと麻衣ちゃん、どちらも素敵でした。「上手に焼けたら・・・」と途中でモノローグが終わっているのが、作品の外へと、なっちゃんの思いが少しはみ出していくような、開かれていくような感じがして、印象的でした。
形井中へいさん『ヤンキー、恋をする。』
3ページの女の子がかわいらしくてよかったです。そして主人公の「ど」の連続に笑いました。どういたしましての次のコマの女の子が、ちょっと引いているのもおもしろかったです。意外と主人公は落ち着いてるのかなと思いきや4ページでの落ち込み方が、すごく激しくて、そこも楽しかったです。最後のコマで「サンキューな」と照れ顔のヤンキーも愛嬌があって、登場キャラクターがそれぞれ魅力的なのが、よかったです。
深田えいひれさん『文字の神様』
4ページ1コマ目のニッコリ笑顔のフデちゃんが、清々しいくらい性格がひねくれていて、いいですね。5ページ1コマ目の悪い顔も、インパクトがありました。4コマ目で主人公が、言おうとしたことを遮って更にたたみかけてくるフデちゃんに「えぇ・・・」と引いているのがおもしろかったです。ラストは、主人公の性格がねじ曲がってしまって、バッドエンドっぽい感じで予想外でした。11ページ2コマ目の顔は、主人公というより最早敵キャラがする表情で、悪そうな感じがよく出ていておもしろかったです。
ぼんち。さん『君が。』
キャラクターの表情がよく分かるコマ(顔が大きく描かれているコマ)が多くあるのが、よかったと思います。その時その時のキャラクターの心情が分かりやすかったです。「セクハラしかできねぇなら呼吸すんなよ」「そして死ね」のセリフが、「死ね」だけより「呼吸すんなよ」があることで、めちゃくちゃ怒ってることが強く伝わってきました。9ページの2コマ目での真紀ちゃんの驚いた様子と、次のコマの笑顔の田中さんがいいですね。田中さんは、真紀ちゃんのことを真紀ちゃん以上に分かっているような、そんな感じがしました。最後のページのような二人が仲良く、楽しくしているシーンがもっと読みたくなりました。
くまのぶさん『バタフライ』
6ページ最後のコマと7ページの1コマで、気さくなお店の人の人柄がよく伝わってきました。12ページ1コマ目から始まるお店の人のセリフは意外な感じもしましたが、地に足が着いていて、やる気のなさを否定しないのがよかったです。ラストシーンも、一歩ずつ前へと進んでいく、とりあえずできることをする、という地道さが出ていたと思います。全体的に、少し大人しく控えめな印象を受けたので、何かちょっとした見せ場になるシーンがあってもいいかもしれません。
七井一汐さん『私も仲間に入りたい』
6ページの4コマ目の、小柴の表情とセリフで一気に不穏な感じになり、主人公の「なんだかすんごい気まずい」というモノローグに共感しやすかったです。いたたまれないような、気まずい感じがよく出ていたと思います。9ページの4コマ目には、さらっと無神経なセリフが出てきて、この後どうなるんだ思っていると、童貞くんがユーモラスな反応で空気を和ませているのがよかったです。15ページで主人公が「自分から傷つきに行かなくていいんですよ」と言うシーンで、開けた視点になって、枠線もなくなったことで解放感が感じられてよかったです。もっとこの二人の会話を見たいなと思いました。
高月晃太さん『ヒマつぶし』
8ページ2コマ目の尼崎さんの様子が、背景が黒いのもあって、ちょっと狂気的な雰囲気がしました。「記憶を消すのって気持ちいいよね~!」とあるので、一体どうやって尼崎さんは記憶を消しているのか興味が湧いてきました。かなり尼崎さんが不思議で、濃いキャラクターなのですが、その不思議な行動と岐阜さんが、あまり関わらないので、二人がどういう関係なのかが、分からないまま終わってしまった感じがしました。尼崎さんの行動に岐阜さんが巻き込まれるような展開などがあると、二人の関係がもう少し分かってよいかなと思います。
ヤギワタルさん『ぼくとおじさん』
おじさんの、4ページの3コマ目「俺は・・・生きてるよ有意義に・・・」のセリフは、最後まで読んでからもう一度読むとグッと印象が強まりました。11ページから12ページにかけて、マサトくんの秘密が明らかになるシーンは、意外性があっておもしろかったです。マサトくんがあまり気力がない感じで、絵を描くことにも熱心ではないのには、何か理由があるのか気になりました。最後のページで、絵を描こうとマサトくんが喫茶店を出ていくのは、いい感じの終わり方なので、どうしてやる気をなくしてしまったのかが分かると、マサトくんの気持ちの変化が伝わりやすくなって、ラストシーンがより印象的になるのかなと思いました。
阿山カンフーさん『わたしはうるさい人』
1ページの5コマ目で足だけが描かれ、その次のコマでみんなに心の中で謝っている主人公の姿に、哀愁が感じられて、どことなく憎めない感じがしました。必死でこずえさんに話しかけ続けている主人公が、「あなた、うるさいわよ」と言われ、実家に帰られてしまうのは、少しかわいそうな気がしました。「うぎゅ」と口を押えられた主人公の顔が、コミカルでよかったです。もしかしたら、主人公のうるささ、おしゃべりが、こずえさんの意識を取り戻す役に立ったので、主人公は晴れ晴れとしていたのかなと、何度か読み返して思いました。晴れ晴れとしている主人公は、何とも愛嬌があってよかったです。
ほりい泉さん『レンズのむこう』
2ページの二人のやりとりが、テンポがよくておもしろかったです。4ページで、雨をポジティヴに捉えるうさぎさんの前向きさは、ちょっと見習いたくなりました。6ページ1コマ目は、自分よりも他の人を優先するうさぎさんの人のよさが伝わってくる、いいシーンでした。ねこくんが、うさぎさんを励まそうとしてポジティヴな考え方になっていくのがいいですね。ネガティヴになるうさぎさんと、ポジティヴになるねこくんが、お互いのものの見方を交換したように感じられました。うさぎさんの眼鏡が、ラストシーンでとても重要な役割を果たしていて、うさぎさんが眼鏡をしていることに意味があるのが、よかったです。ねこくんがうさぎさんの眼鏡をして空を見上げているラストは、心動かされるとてもいいシーンでした。
カネゴンさん『引きこもり』
1ページ1コマ目の主人公の顔が、ヤバい感じが伝わってきていいですね。3ページでいきなりのキス、そして4ページでいきなり告白、なぜか即OKという衝撃の展開に驚きました。3~4ページが、かなり駆け足気味に進むので、この男の子のどこが、主人公にとって魅力的だったのか、男の子が告白にOKしたのはどうしてかが描かれると、よりスムーズに話を理解できるかなと思いました。
山岡兄弟さん『戦場に舞う正義』
4ページと14ページの、人が撃たれるコマの引いた視点が、この作品の少し冷めたような、一歩引いたような感じにあっていたと思います。4ページで撃たれた人は、誰に撃たれたのかがはっきりとは分からなかった(おそらく大尉が撃った?)ので、少し状況を補足する絵があるといいかもしれません。主人公である大尉は「一生かかって考えるといい」と言われて、何を考えたのか、変化はあったのか知りたいと思いました。
桐山さん『変わらないもの』
7ページの2コマ目「15年間 私は何も変わっていない」と言う言葉と立ち尽くしている背中が、切なかったです。8ページのみつるさんの「ほしいも食べる?」のセリフは、優しさとちょっとしたコミカルな感じがあって、よかったです。9ページの司さんのセリフも印象的でした。何かをするのではなくて、ただ側にいることが助けになるというのが、いいなと思いました。10ページ1コマ目の司さんの表情とそのセリフがグッときました。変わらないことは、もしかしたら悪いことばかりではないのかも、そんな気がしました。そのままでいること、ただ側にいることは、簡単そうに見えてなかなか難しいことかもしれないなと思いました。
たにかわつかささん『発砲美人』
14ページのセリフ「誰も傷つけたくないの」「別にそれでいいでしょーが」は、はっきりしないこと、迷ってしまうことを肯定的に捉える考え方で、いいなと思いました。伊藤くんは、どうして銃を拾って誰にも言わなかったのだろうと、少し気になりました。ビビりな性格の伊藤くんが、明らかに厄介ごとに巻き込まれそうな危険物である銃を拾うのには、何かしらワケがありそうなので、そのワケが描かれていると物語がより飲み込みやすくなるのではないかと思いました。
アキオさん『卒業式から始まる』
3ページの「声をかけるだけのことがどうしてできないのだろう」、この言葉は、わかるなあとしみじみ思いながら読みました。2ページで「僕のことを覚えていないんだ」「また今度話しかけよう」と、色々と考えてしまう前田くんの性格が伝わってきました。5ページで前田くんが心を吐き出すのが、グッときました。そして山本くんがイイ奴でよかったです。6ページの2コマ目が、引いた視点になることで、前田くんの不安な感じが伝わってきました。ラストページで、山本くんにお礼を言って連絡先を聞く前田くんから成長を感じられて、よかったです。
ひむかさん『ずっと前から』
3ページの2コマ目で「楽しい」と自分に言い聞かせるナミの表情が分からないので、どんな気持ちなのだろうと想像させられました。6ページ最後のコマや7ページ最後のコマの笑顔から、息苦しさが伝わってくるような感じがしました。子供の岸くんが、ずっと笑顔で表情が変わらないのが、ちょっと怖かったです。融通のきかないような、頑なそうな感じがしました。ラストシーンで、ナミはあやかをブロックして物語は終わりますが、ナミが面と向かって心の内を伝えたら、あやかはどういう反応をするのだろう、とちょっと気になりました。
中山墾さん『バースデーも別れ話で。』
1ページの主人公の、フォークをくわえながら気まずそうにしている表情や、6ページ1コマ目の彼女の「婚活めんどくせ~~!!」の顔がチャーミングでした。その後の主人公のウッヒッヒ笑いも、愛嬌があってよかったです。キャラクターの表情のかわいらしさと、意外な展開が楽しかったです。シリアスな雰囲気になりそうでならない、不思議な読み味でした。ドッペルゲンガーさんを含めた三人での生活はいったいどうなるのか、興味が湧きました。
藤原ハルさん『約束と運命と』
6~7ページのモノローグの「何も挑まない俺は何も得ることのない空っぽの人生を過ごしていた」という言葉には考えさせられるところがあり、6ページ1コマ目のおっぱいで頭の中が一杯な太一くんとのギャップもあって、特に印象深かったです。コミカルなシーンの合間に真面目なモノローグが挟まって、それがいい緩急になっているように感じられ、楽しく読むことができました。11ページの、「おっぱいなら何でもイイわけじゃないんだ」「あいつのだから——」のシーンは、コミカルさと真剣さが混ざりあっていて、ユーモラスだけれど、ちょっと心動かされるいいシーンでした。
はやしなおとさん『ひとに会うためのバッテリー』
2ページの「人に会うためのバッテリーも」「毎朝、2パーセントである。」という言葉と絵で、ミクちゃんの内向的な人柄がよく伝わってきました。7ページ最後のコマと8ページのミクちゃんがかわいらしく、解放感があってよかったです。登場人物がブルドックだったり、クロヒョウだったりと色々いるのが、にぎやかな感じがして楽しかったです。14ページのラストシーンで、最初に出てきたバッテリーが、ちょっとポジティヴなものとして捉えなおされるのが、とてもいいなと思いました。
以上です。いつも苦戦気味ですが、今回は特に難しさを感じました。どうやって感想を書けばいいかを考えすぎて、どうやって書いていたっけと分からなくなって、だいぶぐるぐると、まわり道をしてしまいました。あまり難しく考えすぎずに、今度はもう少し力を抜いて、できればと思います。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。