ゲンロン ひらめき☆マンガ教室とは

ゲンロン ひらめき☆マンガ教室(以下、ひらめき☆マンガ教室)は、株式会社ゲンロンが主催するスクール講座のひとつです。2017年4月に第1期が開講されました。本講座は、マンガを描くだけではなく、「マンガ家になる」ための自己プロデュース力を身につけることを特色にしており、2009年より講談社BOXでスタートした実践的・実験的なマンガ創作講座「ひらめき☆マンガ学校」の後継講座にあたります。これまでに静脈(少年ジャンプ+『マリッジトキシン』原作)、由田果(週刊少年サンデー『君と悪いことがしたい』)、ハミ山クリニカ(マンガよもんが(ぶんか社)『汚部屋そだちの東大生』)、久保田之都(good! アフタヌーン『週末芸人』)、富田童子(Canna Comics『BOYS OF THE DEAD』)など多彩な才能を輩出してきました。

受講コース

ひらめき☆マンガ教室では、受講生に「ひらめき制作コース」「制作コース」「聴講コース」の3つの区分を設けて講義および講評を行っています。講義および講評会は、月1回から2回、週末の午後よりゲンロンカフェにて行います(一部の授業やワークショップを除く)。これら授業は、主任講師を評論家・マンガ原作者のさやわか氏が務めるほか、回ごとに第一線で活躍しているマンガ家や編集者、評論家をゲスト講師としてお呼びしています。


「ひらめき制作コース」では、本講座のすべての授業に参加し、各回の課題(同人誌制作、ワークショップ、修了課題を含む)を提出し講評とアドバイスを受けることができます。また「ひらめき」回の主任講師による個人面談で、商業活動を含むあらゆるマンガ制作・方針・活動のサポートを受けることができます。過去の経験の有無にかかわらず「マンガ」や「マンガ家」について総合的な力を身につけたいと望む、あらゆる人々に開かれたコースです。

「制作コース」では、本講座のすべての授業に参加し、各回の課題(同人誌制作、ワークショップ、修了課題を含む)を提出し講評とアドバイスを受けることができます。 ただし「ひらめき」回における個人面談は受けることができません。既にマンガ家として明確な目標があるため面談は不要だという方、各回の課題制作に集中したい方、受講料をなるべく抑えたいという方などを対象としたコースです。

「聴講コース」では、本講座のすべての授業に参加し、各回の講義を聴講できます。課題を提出したり講評やアドバイスを受けたりすることはできません。ただし、運営側からアナウンスされる一部の課題やワークショップについては、マンガ制作以外の形で参加が可能です。これら及び、各回の聴講、そして作品鑑賞を通じて、マンガや創作についての知見を深めたいすべての人を対象としたコースです。


受講生は各コースの内容に応じて専用ウェブサイト「ひらめき☆マンガ+」の機能を利用できます。ひらめき☆マンガ+は、マンガを学ぶ・描く・読む・語るコミュニティとして、マンガの世界を広げていくための拠点としての発展を目指しており、受講生は、課題投稿のほか、オリジナル作品の投稿をしたりブログを作成したりすることができます(聴講コースはブログ機能のみ)。

プログラム

本講座は、テーマに沿って作品の制作と講評を行う「着想」「展開」「応用」の授業および、受講生のマンガ制作をサポートする「ひらめき」の授業を組み合わせたカリキュラムを作成しています。講評の一部はデビューをサポートするためYouTubeで中継されます。また、ランダムにチーム分けをして、合同での同人誌の制作と販売を実施します。同人誌の制作と販売の関連費用は受講料に含まれます。


「着想」「展開」「応用」の授業では、「ひらめき制作コース」「制作コース」の受講生は、下記の〈超・ひらめき☆マンガ家育成サイクル〉にもとづき、合計9編のネームとアピール文、完成稿を提出することが求められます。すべての提出物は課題サイトで公開されます。



①事前に課題提示


講義の約1ヶ月前に、ゲスト講師あるいは主任講師から課題が提示されます。課題は「物語の魅力を伝える」「読者を作品に没入させる」「ネットで拡散される作品を作る」など、講師によりさまざまです。


②Webにてネーム提出


「ひらめき制作コース」「制作コース」の受講生は、各回の7日前までに、課題に沿ったネーム(上限16ページ)と内容に関するアピール文(200字程度)を提出します。ネームとアピール文は、所定のフォームより、課題サイトにアップロードします(ネームのファイル形式については別途指示します)。提出されたイメージとテキストは、受講生以外でもアクセスできる状態で公開されます。一般読者の反応は以下の選考・講評で考慮されます。


③授業にて5名赤入れ+上位3名選出


主任講師によって、事前に優秀なネームが5つ選出されます。事前に選出された作品はゲスト講師のもとに送られ、授業内で講師による赤入れが行われます。授業では、講師の協議にもとづいて優秀なネームが3つ選出されます。ネームが選出された受講生は、完成稿提出時に授業内で講評を受けます。惜しくも選外となった他の受講生も、授業内での講評は確約されませんが、自由に完成稿を提出することができます。


④Webにて完成稿提出


授業内でネームが選出された3名は、次回授業の7日前までに、ネームにもとづいてペン入れした完成稿を執筆・提出します。この3名については、②のネーム提出と④の完成稿提出が同時並行の作業になります。


⑤授業にて完成稿の講評、配点(通常点+ひらめき点)


前回の授業内で選出された3つのネームの完成稿は、授業内で講評が行われます。選外となったネームの完成稿が提出された場合についても、ゲスト講師の選出により、授業内で講評を受けられる場合があります。
講評ののち、講師の協議にもとづいて「通常点」が割り振られます。
「通常点」の点数は、1課題につき、基本点10点に加え、(ひらめき制作コースと制作コースの受講生総数ーその課題を提出した人数)の合計となり、配点されます。
さらに主任講師により、ひらめき制作コースと制作コースの全受講生を対象に「ひらめき点」が割り振られる場合があります。提出作の内容だけでなく、受講生それぞれの自己プロデュース性、活動の方向性、カリキュラム全体を通しての成長や課題への積極性も総合的に判断し、課題ごとに配分します。
通常点とひらめき点を合計した点数は、最終選考において考慮の対象となります。


⑥授業のほかにも多彩なワークショップを開催


通常授業や講評以外にも、ゲンロンスクール「大森望 SF創作講座」との合同授業や、数多くのワークショップを行います。ワークショップではマンガ制作ソフトの使い方、企画の作り方といった実践的な取り組みをはじめ、マンガの読み方や評し方、WebtoonやAI作画といった業界動向など、さまざまな形でマンガを多角的に学べる機会を作り、創作への興味やヒントを引き出します。


以上のサイクルを繰り返すことで、受講生は「多様な市場の要請に応じてアイデアを生み出すプロット力」「アイデアを限られたページに配置するネーム力」「ネームを魅力的に提示するプレゼン力」「ネームを作品として完成させる画力」など、マンガ家としての基礎体力を確実に向上させることができます。


2022年7月9日。第5期「キャラクターを作る」。ゲスト講師・鶴谷香央理(右)が受講生のネームに丁寧に赤を入れて指導。

※講義・講評の模様は映像に記録し、後日、受講生向けの限定公開でウェブ上にアップします。本講座期間中はストリーミング配信で視聴し、復習することができます。やむを得ない事情で授業を欠席した場合にも、講義・講評の内容を確認することができます。


※「ひらめき」回は、主任講師による個人面談や数々のワークショップを通して、マンガ家になるための多面的なサポートが行われる授業です。「ひらめき制作コース」の受講生は、個人面談を通して「どうすればマンガを描き続けられるのか」「編集者とどのようにコミュニケーションすればいいのか」「商業誌に持ち込むにはどうしたらいいのか」など、多くのマンガ家志望者が抱える悩みや疑問に対してアドバイスを受けることができます。


※最終講評会では「ゲンロンひらめき☆マンガ大賞」と題し、ひらめき☆マンガ教室における最優秀賞作品を選考します。また審査には、多数の現役のマンガ編集者に配点に加わっていただきます。


※感染症の拡大が懸念される状況など、対面での授業が難しい場合、オンラインの講義・講評に切りかえることがあります。その場合には、すみやかに受講生のみなさんにお知らせをします。

卒業生の主な活躍

氏名 期  賞・活動Twiter
富田童子第5期Cannaより単行本が発売(『BOYS OF THE DEAD』)、「週刊漫画ゴラク」にて作画担当で連載(原作:都伊カオル『戸村助教授のアソビ』) @TomitaDouji
小林煌第5期「となりのヤングジャンプ」にて作画担当で連載(原作:日之影ソラ『十三番目の転生者』) @kr_kob
清水しの第4期新潮社より単行本が発売(『オオカミ部下くんとヒツジ上司さん』) @doro10mizu
片橋真名第4期第24回ウィングス・マンガ大賞で「奨励賞」受賞(『僕だけのひみつ』) @manakataha
静脈第3期「少年ジャンプ+」に原作担当で連載(作画:依田瑞稀『マリッジトキシン』)@joumyakun
由田果第3期「週刊少年サンデー」にて連載(『君と悪いことがしたい』)@ytkcchi
景山五月第3期「ねこぱんち」にて連載(『黒猫の○○ごっこ』)@unyamho
ハミ山クリニカ第3期ぶんか社より単行本が発売(『汚部屋そだちの東大生』)@kllinika
kubota第3期「good! アフタヌーン」にて連載(久保田之都『週末芸人』)@kubota0612
やまだ亜麻第2期スリーズロゼコミックスより単行本が発売(『天使と悪魔と床と壁』) @ama_yamada
辻恵第2期「COMICリュウ」にて連載(『難しいほうのサイトーくん』)@_slice007_9