6期最終課題の感想
こんにちは。聴講生のたけもとです。
短いですが最終課題を読んだ感想を書きました。
提出された皆さま本当にお疲れさまでした!
●大須賀健「痴話喧嘩無敗伝説」
安定の筆の速さがすごいです。考える力も描く力もちゃんとあるんだなと感じます。
同じコマ割りの構造が繰り返されるのが、読みやすくて良いと思いました。
それでも間に休憩パートがあるので単調にならずに読めて、最後につながる終わり方も満足感がありました。
50ページでもブレずに最後まで描き切れるのが素晴らしいと思います。
●あい乙いなびこ「怪物」
1コマづつの密度が上がっているのがとても良かったです。
セリフ部分の装飾などでファンタジー感を演出しているのかなと思いました。
この設定の世界では何が起きるのだろうと続きのお話が気になりました。
●くまのぶ「小食二郎訪問 〜環七一之江店〜」
最後のページの、店内を俯瞰で見ているコマが好きでした。日常の瞬間を切り取って情緒を感じさせる絵にするのが上手いと思います。
コマの裁ち落としや構成もネームよりとても読みやすくなっていました。
食券の買い方なども勉強になって、ラーメン二郎へのハードルを下げるという目標も達成されている様に感じました。続編も楽しみです。
●山岡兄弟「パティスリーヨシダ」
キャラの表情を使うのがより自然になっている感じがしました。12pの男性の苦虫を噛み潰したような顔が好きです。
ネームより短くまとめているのが良いなと思いました。
地震の展開は少し急な感じもしましたが、全体の読みやすさはどんどん上がっていると思いました。
●ぼんち。「メルトDT」
ちゃんと間があってテンポの緩急もついていて読みやすかったです。
大ゴマの使い方がうまいと思いました。p24みたいにめくってインパクトがあるコマがくるのも楽しいです。
最後の展開が予想できなくて面白かったです。連載の第一話ということが納得の引きでした。
分かりやすく伝えることに意識がちゃんとある漫画だなぁと感じました。
●形井中へい「志摩先生とうるるちゃん」
人物を描くのがうまいなぁといつも思います。p17やp22のギャルの表情がかわいくて良かったです。
コマ割りの修正も、p20の分割はリズムも出るし効果的に思いました。
p12で画材のコマをちゃんと入れたりなど、読者が付いてきやすい工夫を感じて良かったです。
大人目線で若者の青春を描き、さらに主人公の内面もポジティブに変化していて気持ち良い読後感でした。
●やながわけんじ「オタクに優しいギャルの兄ちゃん
キャラクターを魅力的に描くのがうまいと思います。妹は可愛くて兄も憎めない感じなのが良いです。
p7の「朝ごはん〜幸せだろうなぁ・・・」のセリフも情けなさが出ていて良いなぁと思いました。
家の中で完結する話でもちゃんと引き込まれる漫画になっていて面白かったです。
情緒的な余韻が残る良い話だと思いましたし、全3話の構想を書かれていたので続きも読みたくなりました。
●深田えいひれ「可愛がり専用職員」
1p目がインパクト十分でつかみが良いと思います。タイトルも不思議で、何が始まるんだろうと期待させられました。
話を読んでも謎は残り、でもそのぶっ飛んでいる世界観が楽しめました。
盛り上がりがたくさんあってテンションが高く面白かったです。
●アキオ「私が家を燃やした」
10ページを描き切っていてとても良いと思いました。
1ページ目からシュールな空気感が伝わりました。間もしっかりあって奥深そうな雰囲気を感じる漫画でした。
一歩踏み出すポジティブな終わり方で読後感も良かったです。
●たにかわつかさ「カイジューのちいちゃん」
ちゃんと決めの大ゴマがあったり、読ませる工夫や盛り上がりを作っているのが良かったです。
最後まで絵もしっかりと描かれていて、2人の生活ドラマも丁寧に描かれているのが印象に残りました。
「話し合い」がテーマというのはコメントで読みなるほどと納得しました。
●ヤギワタル「警察不在の街」
コマ割りや構図がどんどん読みやすくなっていると感じました。人物登場シーンが縦ぶち抜きになっていて分かりやすくて良かったです。黒のベタの使い方も画面が落ち着いて良いと思いました。
いつも社会的なテーマのある設定から作られているのがすごいです。終わりの展開でも不条理さに吉岡さんに感情移入させられました。
●明青りんご「聖夜の女」
絵も演出もとても上達していてすごいと思います。
冒頭がネームからの修正ですっきりしてとても良いと思いました。包丁のシーンもクライマックスとして強調されていて良かったです。
繊細な線で描かれた人物も物語に合っている気がして、途中で空気感がシリアスに変わったりする様な展開も楽しめました。
●はやしなおと「ドイツと日本のモノレール乗り比べてみた」
モノレールを題材にして描くという視点が良いなぁと思いました。乗り物をしっかり取り上げて描かれた漫画は好きな人にも届きそうに感じます。
構図も工夫されていて単調でないので、ちゃんと最後まで読み進められました。
謎を提示して引っ張っていくお話なので、出来れば続編で理由が明かされるところも読んでみたいです。
●ひむか「プリンセスを探して」
まず扉絵が良いと思いました。これから2人の関係のお話が始まるんだなと期待させられます。
コメントの通り、目の描き込みを意識されたことで表情がとても魅力的に描けていると感じました。
「恋してこそ女の子!」へのリアクションなど、主人公の感情を抑えた表情が上手くて印象に残りました。p12の決めの絵もとても良いと思います。
長い作品をしっかり完成させていて、技術が確実に上がっているのを感じさせられる作品でした。
●中山墾「姉は人魚姫、40歳」
追加されたシーンによって作品の意図がよりしっかり伝わってきました。「40歳まで長い時間〜」のセリフも良かったです。
ちゃんと読み応えを増すようにブラッシュアップできるのは素晴らしいと思いました。
海上に出た時の、抜けの良い明るい画面が、中盤までの暗い画面との対比になっていてとても好きです。
丁寧に作られた良い作品だと思いました。
●藍銅ツバメ「あらゆる文士は娼婦である」
読みやすくて一回読むとちゃんと印象に残る漫画でした。
キャラクターが立っていてお話も続きそうで楽しいです。
コメントの通りに他の方の作画になっても、よりキャラクターが強まった絵になったりして良さそうです。
最終課題でもちゃんと違うパターンで作られていてすごいなと思いました。
●mimix「あこがれ」
思春期の気だるい雰囲気を思い出し味わうことができる漫画だなぁと思いました。
生徒の一人一人をちゃんと描いているのが良かったです。
物語というよりは一枚の絵の様な、シュールでおしゃれな世界観を感じました。
●藤原ハル「夜を泳ぐ魚たちは」
絵の説得力がとにかくすごかったです。
画面の構成も意識が隅々まで届いている様に感じますし、読みやすくて引き込まれます。
人物の外見もいかにもな感じで描かれていたり、それをちゃんと表現できるのがすごいと思いました。
p6やp36のカメと主人公の寓話的な絵が印象に残っていて好きです。
48ページの長さでこの完成度は圧巻でした。
以上。順番は提出順です。
力作揃いで読むのも楽しかったです。
感想文は書いたり書けなかったりでしたが、制作生の皆さまの漫画を読んでいつも刺激を受けていました。
1年間ありがとうございました。