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ひらマンのコトバ#14「カメラが近いと、温度や空気感のコントロールができなくなる。」(水上悟志先生)/「読者は頭が働いてない時間帯にマンガを読んでると想定してるんです。」(須見武広先生)/「人はキャラクターが描いてあって変化すれば、考えることが可能なんだよ。」(大井昌和先生)


4月11日の講義「応用3 総合性」を現地聴講しました! ついにひらめき☆マンガ教室第8期も通常授業としては最後。「惑星のさみだれ」の水上悟志先生と担当編集の須見武広さんのコンビをゲスト講師に、おなじみ大井昌和先生がホストとなる豪華な授業でした。

 

前半は水上悟志はいかにしてマンガ家になったか?を大井先生が聞き出すインタビューパート。マンガ専門学校在学中に16ページの読み切りを毎月描くという修行時代を経て連載へ進んでいったという水上先生のデビュー時のエピソードは自伝的マンガ「水上悟志のまんが左道」でも触れられていましたが、授業では実際にその当時の担当編集であった須見さん視点のエピソードもあわせて聞けて貴重でした。「デビュー当時はどんな作品に影響を受けていた?」という大井先生の質問には「ラノベやノベルゲー、寄生獣などの一人称視点の没入感、生活感」「後期ガイナックス鶴巻監督作品(フリクリ、トップをねらえ!2)の構成のツメ方、アクションのカメラアングル」などと答えられていて、なるほど!!! それしかない!!! という感じでした。

 

さてそしてネーム講評。すでに制作生は最終課題にとりかかっていて、というかこれもあまりちゃんと言われていないことなのだと思いますが、ひらめき☆マンガ教室の最終課題は「ゲンロン ひらめき☆マンガ大賞」であり、すなわち最終課題の提出が「ゲンロン ひらめき☆マンガ大賞」へのエントリーを兼ねており、その「ゲンロン ひらめき☆マンガ大賞」の公開選考会がひらめき☆マンガ教室の最終授業としての完成稿講評でもあるという建て付けになっているのだと思われます。最終課題は特例として完成稿選出の仕組みがなく、したがってネーム提出は任意で、今回はそのがんばってネームをあげた勢へのネーム講評でありました。最終課題は課題のなかで唯一ページ数の制限がないこともあり、大変な気迫を感じるネーム群。大井先生は「ちゃんとネームをあげてきた奴をひいきするのが今日の講評」と、熱意ある指導をされていました。

 

 

今回のコトバは三本立てになりました。水上先生の「カメラが近いと、温度や空気感のコントロールができなくなる。」は、士隼 久さんの第8課題完成稿「海まで」の講評の中でのコトバ。

 

 

水上先生はほかの作品の評の中でも「構図の温度が高い」というような表現をされていましたが、ページや見開きの中でアップや人物が大きいコマが続くと読者は「暑苦しく」感じ、読み疲れてしまう。適度に引きや背景のコマを入れてマンガの温度調節をしておくことで、アップや空気感の変わるコマを演出することができる、という意味かなと思いました。読み切り短編の名手水上先生の至言でした。

 

須見先生のコトバは、八尾匠さんの最終課題ネーム「魔王と勇者の新婚旅行(仮題)」

 

 

講評のなかでの「読者は頭が働いてない時間帯にマンガを読んでると想定してるんです。」にしました。ふつうの読者がいつマンガを読むかと言えば、通勤電車の行き帰りや昼休みや帰宅後など、疲れていたり眠かったりするシチュエーション。それを考えたら、セリフは極力減らし、引っ掛かりになる大ゴマを用意しないといけないと。説得力ある編集さんのアドバイスでした。

 

最後は大井先生の「人はキャラクターが描いてあって変化すれば、考えることが可能なんだよ。」。これは彩冬八羊さんの完成稿ネーム「放課後推し活クラブ」

 

 

の講評のなかで、見せ場のシーンをどう作るかという文脈でのコトバでした。濱田轟天先生もおっしゃっていましたが、コマとコマの間にあったはずのいちばんいいシーンを読者にゆだねるのがマンガの神髄で、そのためには部分ではなくてキャラクターの顔や姿とその変化が象徴的に描かれないといけない。それがあれば読者は自動的に考える。大井先生のロジカルさが感じられるコトバでした。

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