第6期の最終課題 完成稿の感想
最終課題(第6期)の、完成稿の感想です。ここでは、改めて読み返したり、講評会を見て思った点を、コメント欄にちょっと付け足す感じで、書いてみました。
正くんの過去や現在が描かれて、話に繋がりが生まれたことで、ネームにおもしろさがさらにプラスされた感じがしました。
2pの3,4コマ目や、3p3コマ目「うふふ」の吹き出しに出くる、ちっちゃいキャラクターがかわいかったです。
15pのcase???の「これは追いかけなきゃダメなやつだな」のコマで、ギュッと口を閉じた正くんが、小さな子がすねているみたいでおもしろかったです。口のしわなど、表情が細かいところまで描かれていて、情けなくてコミカルでした。
34pの秘技「優しい嘘」で「君以外の女性は全員ドブだと思っているよ」と結構ひどいことを言っているのもおもしろかったです。
「負けられない理由」の話では正くんの過去が描かれて、勝ち負けにこだわる理由が明らかになりますが、「いきつく先がそこ!?」と彼女と同じ気持ちになりました。おっとりした感じの今の彼女が、かわいらしくてよかったです。
怪物がうろうろしているところを人が普通に歩いているのが不思議な感じがしました。3コマ目の背景の町が丁寧に描かれていることで、町に怪物がいる奇妙な雰囲気が際立って感じられるように思いました。
1pのおにぎりを食べている表情が、かわいらしかったです。くっきりと太い線で描かれたキャラクターが、ほのぼのとした印象で、いいなと思いました。トッピングが色々と種類がありそうなので、どういったものがあるのか興味が湧きました。
6p4コマ目での「ゾバババ」という音と、太くて大きい麺の絵から、簡単にはすすれない固めでしっかりした麺の存在感が伝わってくるようでした。また7pで味変の調味料の紹介があるのも、楽しかったです。唐辛子だけ2種類もあるんですね。
ラーメン二郎=大盛りのイメージですが、大食い人だけではなく誰でも楽しめる場所として紹介していくところが、視点として新鮮に感じられて、そこが特にいいなと思いました。
謎や事件が幾つかあり、全容がはっきりとは分かっていないので、ここから色々と話が広がっていきそうな感じがしました。
「シーマー」「ポセキ」「バデル」といった特徴的な言葉から、異世界っぽい不思議な雰囲気がして、そこもおもしろかったです。津波がやってきて、みんながどうなったのかは分からなくなってしまいますが、ミアやお父さん以外の人がどうなったのか、気になるところです。
ラストシーンでは、新しい場所へ出ていく前向きさと、手紙の差出人の目的は何なのか、少し不穏な雰囲気を感じられました。問題や謎がすっきりとは解決されない、少し突き放していたような終わり方も印象的でした。
AI作画の方法に詳しくないので、どうやって作品を作っているのか、そこも興味深く感じました。
一度読み終えて、事情を分かったうえで読み返すと、日下部くんにアプローチしている神崎さんがちょっと怖い人から、頑張っている人へと、受ける印象が変わるのがおもしろかったです。日下部くんが神崎さんからの積極的な攻めにどう抵抗し、元カノへの思いを貫けるのか、そんなストーリーかと思いきや実は事情があって・・・と意外性のある展開がよかったです。
日下部くんは、神崎さんを「きれいな子だなと」と思っただけで自分を殴りつけるくらい生真面目で、21pでは「せめて仕事上では気をつかわせないようにサポートしなきゃと」と神崎さんに気をつかったりと、日下部くんも神崎さん(彼女は最初はちょっと怖かったですけれど)も、どちらも好感が持てるキャラクターで、そこが読んでいてよい点だと思いました。続きがあるとのことなので、今後描かれていくところかもしれませんが、神崎さんには魅力的な表情が色々あり、そこがいいなあと思ったので、日下部くんの方にも彼のよさや魅力が伝わる表情などが増えると、よりよくなるのではないかなと、そんな風に感じました。
ものすごく大きなすれ違いが起きてしまっている二人ですが、過去別れてしまった理由や、これからどうなっていくのか、展開が気になるところです。
形井中へいさん『志摩先生とうるるちゃん』
ストレートないい話だなあと、読んでいてしみじみ感じました。志摩先生だけでなく、生徒である佐藤さんの気持ちに変化があらわれるのが、いいと思いました。もっと佐藤さんの色々な表情や気持ちの変化の過程を見てみたくなりました。
5、6pでスイッチが入ったように、前のめりになって握手を求める押しの強いうるるちゃんがおもしろかったです。25pでは佐藤さんに握手しに行っていて、すぐ握手しようとするところに、うるるちゃんのグイグイ行く性格が表れていて、魅力的でした。
4pで話を真面目に聞いていないうるるちゃんは、次の5~7pで見せる真剣な姿勢と落差があっていいのですが、漫画が好きで、真剣に漫画家を目指そうとオープンキャンパスに来ている子が、どうして初めは不真面目な態度なんだろう?と、そこが少し気になりました。
ちょっとしか登場しませんが、13p1コマ目で「あっインク垂れちゃった~」と言っている脇役の女の子も、愛嬌があってよかったと思います。
うるるちゃんの表情が豊かで、その細かな変化が読んでいて楽しかったです。大きく描かれた、見せ場の顔もいいのですが、小さなコマでも、コマごとに色々な表情をしているのがいいなと思いました。
3pで登場する妹が、かわいらしくてよかったです。独特な魅力を感じました。11pで挟まる回想シーンでのお兄さんがさわやかな雰囲気で、同じページ最後のコマでベッドに寝転んでいる姿とのギャップが切なかったです。13pで最後の方のコマが細かく区切られていることで、妹と友達が部屋に近づいてくるドキドキ感がありました。次の14pで誰もいない妹の部屋全体が描かれ、何とか逃げ切れたのかなと思いきや、15p1コマ目で、状況のまずさが分かるのがおもしろかったです。絶体絶命という感じで、どう切り抜けるんだろうとグッと引き込まれました。
16pで、ベッドの下に隠れながらパンツをのぞこうとして音をたてて、見つかりそうになるシーンは、見つかるか見つからないかのドキドキがあって読んでいて楽しかったです。
この後二人の関係はどう変わるのか、お兄さんは幸せになれるのか、つづきに興味が湧きました。
「キモい」の一言でスパっとおわるラストシーンも小気味よさが感じられて、よかったです。
最初のページの、お尻のアップと、股越しにパンツ一丁で耳をつけた男性が座っている異様な絵ではじまるので、パッと見て作品の雰囲気が分かるのがいいなと思いました。何だかおもしろそうなことが起きそうな感じがしました。「可愛がり部屋」にいる三船さんからは恐ろし気な感じがよく出ていましたが、可愛がりが行われている部屋はどんな風で、どういったものが置かれているのかを、もう少し知りたかった気がしました。
13pでりょーたが必殺技「通信指圧術奥義 ハルマゲドン」を繰り出して決着がつくのは、独特な作品の雰囲気と合っていてよかったと思います。三船さんの方にも何か必殺技があってもおもしろいかもしれないな、とふと思いました。
タイトルと、1p1コマ目火事のシーンで始まって、次のコマで「私の家が燃えている」「これは私のせいだ」と気になるセリフがくるので、読み始めてすぐにどうなるんだろうと、興味を引かれました。
由依ちゃんが隠していたことを打ち明けると、詩織ちゃんの方も火事が起きたことで救われたと心のうちを明かしていくのがいいですね。お互いに心を開きあって関係を一歩前に進めていくのが素敵でした。
家が燃えてしまうのは、なかなか前向きに捉えられない出来事だと思いますが、詩織ちゃんの抱えていた事情と合わさって、彼女の状況が好転していくというのがおもしろかったです。由依ちゃんが詩織ちゃんのためにしたことではないのですが、由依ちゃんが少し救われる理由として、それほど無理がない感じがしました。
最後のコマで二人の仲が急接近するのが、読んでいて早足に感じられたので、もう少しゆっくりとコマやページを使って、友達になるまでを描いてもいいかなと、少し思いました。
まず。ヒーローとカイジューが日常的なものになっているのがおもしろかったです。二人の気持ちのすれ違いや、カイジューになってしまったちいちゃんがどうなるのか、先が気になり楽しみながら読めました。
27p最後のコマで「変身」と叫ぶかなたくんを見た時には、ついに戦ってしまうのかなと心配になりましたが、話し合いで解決していくのが、とてもいいなあと思いました。かなたくんとちいちゃんが、力でぶつかり合うのは悲しい気がしていたので、「ごめぇぇん!!」とかなたくんが謝って、二人でずっと話続けるシーンを見て、よかったとホッとしました。大きくおなかが鳴って二人で笑い合うシーンが素敵で、印象深かったです。暗い夜から、朝日が昇ってくる空の変化と二人の気持ちがリンクしているのがよかったです。34p2コマ目でぎゅっと握り合った手に再び力を入れなおす場面は、二人の関係がもう一度改めて始まるような感じがして、グッと心動かされました。
仲良くカレーを食べている最後の場面は、ほのぼのとしていて、平穏な日常が戻ってきたのを感じられて、ここもいいなあと思いました。
かわいらしい絵でありながら、ダークな作風でおもしろかったです。沼田がはじめはどんな人物か分からず、徐々にその悪さが明らかになっていくのが、ハラハラしながら楽しめました。キャラクターを引いた視点で見ているような、全体的にどこか乾いた雰囲気を感じられました。大きなコマでショッキングなシーンが描いたりせず、キャラクターの造形も比較的シンプル寄りだからかもしれません。淡々としていて、表向きは平穏だけれど、じわじわと裏で恐ろしいことが起きている不気味さを感じられて、そこが魅力に感じました。救いのない話ではあるのですが、読み味はそんなに重くないのがおもしろく思いました。
髪の毛や表情が細かく描かれているように思われ、キャラクターに重みと言うか、リアルな存在感があるような、そんな印象を受けました。こういったリアリティの感じられるキャラクターだからだと思いますが、作品全体から、落ち着いた雰囲気を感じられました。
リエさんが10p最後のコマで「はぁー」とため息をして、次の11p1コマ目でうなだているのを描いていることで、落ち込んでいる彼女の気持ちをしっかり感じとることができました。一つ一つのしぐさと、感情の変化を丹念に描いている印象を受け、そこに好感を覚えました。
少し細かい部分かもしれませんが、22pで包丁が刺さってしまうプレゼントは何だったのか、ちょっと中身を知りたかった気がしました。
23pで二人が笑い合う場面にどこか寂しさを感じましたが、それは二人が落ち着いたことで、終わりを感じさせるからなのかなと、そんな風に思いました。笑い合って、しっかりとお互いがパートナーともう一度向き合おうとするのがいいですね。
主人公がドイツへ行くまでがネームと比べて、描かれていることで、ドイツへ行く主人公の行動が理解しやすくなった気がしました。モノレールを眺めながら、日本とドイツのものとの違いを一つ一つ確かめていく場面がいいですね。へぇーそうなんだと楽しみながら読むことができました。端から端まで乗った感覚が日本と同じと、感覚で気づくのがおもしろかったです。それをパンフレットなどで確かめずに終わってしまうので、主人公の感覚が合っていたのか確認するシーンがあってもいいのかなと思いました。
キャラクターの表情と背景が丁寧に描かれていて、とてもよかったです。キャラクターの感情の変化がしっかりと伝わってきました。背景では、9pの白雪さんのドレス姿と背景の植物、10pのかぐやさんや背景の和風の模様が華やかで、読んでいて楽しかったです。12pでかぐやさんがドレス姿の自分を鏡で見るシーンでも、鏡が豪華できれいでした。こういった一つ一つのものを、しっかりと描かれているのが好感を持ちました。
9pの白雪さんの言葉「大丈夫!かぐやだって」「ちゃんと王子様と結ばれるって!」から、白雪さんにも悪気はなく、かぐやさんのことを少し勘違いしてしまっているだけなのが伝わってきたので、決別したりせずに、ラストシーンで和解できてよかったなと思いました。
26、27pで、歩いているかぐやさんとツバメくんが大きく描かれているのが、よかったです。彼女の気持ちの解放が感じられました。
お姉さんやドーラちゃんの色々な表情がチャーミングで、魅力的に感じました。キャラクターが生き生きとした表情で、いいなあと思う場面が幾つもありました。19p、「今までわたしが見ようとしなかった、世界」のモノローグのお姉さんが髪の毛や表情が繊細で丁寧に描かれているように感じて、とても魅力的でした。いい表情だと思うので、もっとコマが大きくてもいいなと思いました。表情の繊細さと、細かく描かれた髪から、このシーンの大切さが伝わってくるように思いました。髪の描き方がキャラクターの印象にかなり影響するんだなと、改めて感じました。
22pで、お姉さん口から、「40歳まで長い時間を無駄にして外に出たらさらにみじめな気持ちになるって怖かった」と抱えていた気持ちが語られて、それを「でも、来れてよかった」と微笑んで、穏やかに振り返ることができるようになってよかったなあと思いました。
4pで時雨さんが指を絡めるようにして手を握るので、主人公の「元カレ」であることが伝わってきました。次のページのかわいらしいエプロンを着ているのが、その前までのコマの大人な雰囲気の時雨さんとギャップがあってかわいらしく感じました。柏木さんも、6pで主人公の顔に触れたりして、アプローチの仕方が元カレによって、きちんと違いがあるのもいいなと思いました。乾くんが10pで色々着ているものをなくしているのもおもしろかったです。
主人公が自分の問題に対して、「なんか・・・大変なことになってきたけど」「もうこの際誰でもいいかなと」とのんきなのが、いいですね。
淡々とグロテスクなことが起きているのが読んでいて、不思議な感じがしました。「ぱん」という文字も、どこか軽やかな感じで、先生が弾けてしまっている状況と落差があって、何が起きているのか少し混乱するようでした。バラバラになった先生をよく見ると、細かな部分まで丁寧に描かれていて、迫力がありました。最後のコマでは、主人公の髪が黒く塗られていないからか、どこか虚しさみたいなものを感じられました。
「商業誌マンガ賞応募のご希望のため非公開」となっているので、読んだ記憶をもとに少し書いてみます。もし間違いや勘違いなどあったならすみません。
ブンジさんが未果ちゃんに触れている場面は、手の感触が伝わってきて、生々しさが感じられ、ブンジさんの実在感がグッと増したように思いました。
レ二くんの股間が凶暴な亀の姿になったり、ブンジさんが途中で亀になったりするのが、どこか夢の中の出来事のような、現実感が少し揺らぐ感じがしておもしろかったです。未果ちゃんの夜の世界になじめない気持ちのゆらぎみたいなものが、表現されているのかなと、そんな風に感じました。
また、未果ちゃんがブンジさんに一緒に死のうと誘って、それに対してブンジさんが「ありがとう」とお礼を言う場面も、心に残っています。その時、未果ちゃんは少し驚いた表情をしていたような記憶があり、そこが印象的でした。未果ちゃんにとって予想していなかったブンジさんの言葉で、彼女が救われていくのがとてもよかったです。
以上になります。投稿された課題作の感想を述べていくことを、時間がかかりながらですが、何とか続けることができました。漫画を読んで、その感想を文章にした経験がほとんどない中、手探りで感想のブログを投稿していましたが、みなさんからコメントで反応をもらえたのが、とても励みになりました。今まで書いた感想が、モチベーションのちょっとした足しにでもなっていたらうれしく思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。