課題7 完成稿の感想「作者自身と同じ欠点を持つ主人公に、何が起きてどう行動すれば解決できるかを考えて主人公を救済する」
課題7の完成稿の感想です。主にコメント欄で上手くまとめられなかった部分や、改めて読み直して気づいた点について書いてみました。
真っ黒な背景に描かれているタイトルとモノローグ、1ページ5コマ目の作り笑いっぽい表情で、本音を隠している伊藤くんの内面がよく伝わってきたように思います。11ページ1コマ目の伊藤くんの顔が大きくゆがんで、ついにたまっていたものが溢れた感じがしました。ここの表情が特に印象に残りました。12ページ3コマ目で銃をつかもうとする手が描かれて、その次のコマですぐに発砲した後のシーンに繋がるのが、展開がテンポよく進んでいて読みやすく思いました。
3コマ目のケーキが、大きなサイズのケーキなのが背徳感がより強まっていい感じでした。丁寧にケーキが描かれているのも、よかったと思います。
2ページの3コマ目や、4ページの1コマ目で人物の線が鉛筆のような、少しざらざらとした線の感じになっているのは、何か理由があるのかなと気になりました。2ページ1コマ目の「どよ~ん」の文字が、どよ~んとした雰囲気が出ていたと思います。6ページ4コマ目の「え~?」のフデちゃんの顔が、憎たらしくて煽ってる感じがよく伝わってきて、いい味が出ていました。主人公の努力する描写が増えているので、きれいな字になることの説得力が、ネームと比べて増していたと思います。「うーんと頑張った」内容がより具体的になると、更におもしろくなりそうな感じがしました。
残酷なシーンがあり、少し突き放したような雰囲気がしながらも、キャラクターが小さくてかわいらしいのが、いいギャップだったと思います。ホワイト国が敵の捕虜である大尉を拘束していないのは、かなり不用心でしたが、大尉にやられてしまうのは、かわいそうでした。どちらかというと主人公である大尉より、ホワイト国の言い分の方が理解できる感じがしたので、大尉の心の内をもっと知りたくなりました。
大須賀健さん『元カノForever』
破壊神の姿だけでなく、セリフの書体も怖い感じなのが、発言の普通さとの間に落差がより生まれて、おもしろかったです。
9ページからはじまる破壊行為は、リアル寄りの絵柄になったことで迫力が増して、ネームではそれほどひどいことをされている印象はなかったのですが、完成稿では、住んでいるところをぼろぼろにされて、この後大丈夫かなと主人公がちょっと心配になりました。ラストシーンの破壊神のフォローが雑なのも、おもしろかったです。やはり破壊神だから、破壊することは得意でも壊した後のことを考えるのは苦手なのかなと、そんな風に思いました。頭身が低い、かわいらしいネームと比べて、完成稿は破壊神がいることの奇妙さや、元カノへの主人公の執着の強さみたいなものが、より伝わってくる感じがしました。
3ページで楽しそうに絵を描いている子供が、主人公の沈んだ気持ちと対比になっていて、彼の寂しさみたいなものが伝わってくるようでした。カフェバタフライがどういった雰囲気の店なのか、外観や屋内をもう少し大きく見てみたいなと思いました。ラストシーンは地道な着地で、リアルな感じがしました。主人公に起きた変化が控えめな気がするので、もう少し前向きな雰囲気で終わると、前へ進んでいる感じが強まって、よりよくなるかなと思いました。
9ページの1コマ目の太一くんの表情が、ひたむきさと真っすぐさが感じられて、とてもよかったです。8ページの黒いコマの中に浮かんでくる後ろ向きな言葉をはねのけるような、いい表情だったと思います。「でも、目指しているのはおっぱいなんだよなあ」とちょっとあきれながら、そのひたむきさを応援したくなる、いい感じのバランスがおもしろかったです。11ページ~12ページの流れと、12ページの太一くんの表情にグッときました。
16ページの芽衣ちゃんの笑顔と「ばっかじゃないの」のセリフが、太一くんにあきれながらも憎からず思っていることを感じられ、かわいらしくて、よかったです。
ラストシーンは、いい雰囲気のまま終わるかと思いきや、おっぱいにパンツと、最後までブレない太一くんがおもしろかったです。
2~3ページで英次の上手くいっていない現状が描かれているので、やる気をなくしてしまって、あきらめかけている英次の気持ちを理解しやすくなったと思います。12ページの4コマ目の、左手で描いた絵や、15ページの手紙の言葉「ただ、描くことが好きであってくれれば・・・」が、いいですね。おじさんの絵に対する思いが感じられて、英次がもう一度描こうとするラストシーンに心動かされました。
最初のページで、ネコヤくんとウサミさん二人の性格が一目で分かるのがいいですね。4ページ1コマ目でハゲタカが描かれていて、ネコヤくんが想像しているものが伝わりやすかったです。7ページでのネコヤくんとウサミさんとが「いやはや災難だった」「楽しかったなぁ~」と同時に言う場面は、二人の対照的なものの見方、感じ方が分かってよかったです。「きみのレンズ越しにはまるで別の世界が見えているようだね」というネコヤくんのモノローグがラストシーンで生きているのも、グッとくるポイントでした。
中山墾さん『バースデイも別れ話で。』
2ページの1コマ目や4ページ1コマ目の背景が丁寧に描かれている印象で、生活感みたいなものが感じられてよかったです。5ページ1コマ目、「婚活していい?」からはじまるシーンが、3コマ目の「なんかおもろいかも・・・!彼女の婚活」とやりとりに意外性があって、6ページですぐに「婚活めんどくせ~~!!」と翻したりと、ギリギリのところで決定的な別れやシリアスにならずに終わるのが、おもしろかったです。
6ページ1コマ目の「婚活めんどくせー~~!!」の顔や、次のコマの泣いている彼女の表情が、かわいらしくていい感じでした。
キャラクターの表情の変化が読んでいて楽しかったです。
ここまでです。もう少し完成原稿が投稿されてから間を置かずに書きたかったのですが、だいぶ時間がかかってしまいました。
投稿が遅くなりましたが、ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。