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【投稿コース】第6期 投稿コース講評:『マンガのすごいを読み解きたい① 沙村 広明『波よ聞いてくれ』第1巻』【9月分】


ひらめき☆マンガ教室第6期から新設された投稿コースでは、月に一度、ひらめき☆マンガ+内に投稿したマンガの中から自由にひとつの作品をえらんで講評を受けることができ、内容はひらめき☆マンガ+で公開されます。

 

第6期、9月分の講評には全6作品の申込みがありました。本記事では、niche regionさんの『マンガのすごいを読み解きたい① 沙村 広明『波よ聞いてくれ』第1巻』の講評をお伝えいたします。

 

5.『マンガのすごいを読み解きたい① 沙村 広明『波よ聞いてくれ』第1巻』niche regionさん
講評:さやわか先生

 

受講生アピール文

 「はじめに」に記載した経緯でマンガ作品を読み、それを創作に活かしたいと考え作成した文章になります。

 懸命に書きましたが、勝手がわからず、至らぬ点も多いと思います。

 今回この文章を読んでいただけたらと考えた意図としては以下のような動機があります。
・よりマンガの魅力を膾炙可能なモノにするために工夫すべき点を指摘いただきたい
・そもそもその読み解き方はどうなんだ?(今回ならば波よ聞いてくれの読み解き)という点を指摘いていただきたい
・自分が最終的に想定しているテキストベースの物語作成へマンガ読解から得たものを活かすという方法は突き進んでもいい道なのかどうか
 この3つに関して何か御意見をいただけたらと考え、投稿させていただいた次第です。
 よろしくお願い致します!

 

講師講評(さやわか先生)

niche regionさん、ご投稿ありがとうございます!拝見しました!!なるほど、文章で投稿をなさった経緯がよくわかりました!

 

とはいえ、これについてはちょっといくつか考えるべき点があるかもしれません。理由はいくつかあります。

 

そもそもniche regionさんの思いとしては、自分にはマンガを描く能力はないんだから、まずは今後の創作の足がかりとして、文章でまとめてみた、ということですよね。その気持ちもわかります。しかし「よりマンガの魅力を膾炙可能なモノにするために工夫すべき点を指摘いただきたい」とおっしゃるからこそ申し上げますが、少なくとも、もしniche regionさんが今後マンガの創作術を十全に理解なさりたいのであれば、文章だけでそれについて考えていくやり方は、遠回りかもしれません。

 

なぜなら、マンガを描く技術を学びたいならば、マンガを描く形でしかわからないことがいっぱいあるからです。たとえばniche regionさんは『波よ聞いてくれ』のすごいと思った部分を、作品に即して書き出しています。しかし、niche regionさんがご指摘なさったこれらの部分が、本当に沙村広明にしかできないかどうかは、実際に自分で描いてみないと実感できません。つまり「ああ、自分は沙村のようには描けないし、これは並大抵の作家にはできない。やはり沙村は、すごい」と思わないといけないのです。

 

逆にもし、「これは沙村にしかできない」と思っていることが、案外、自分にもできてしまったら、それは沙村がすごいのではなく、「漫画家なら誰しもがやるテクニックなんだなあ、自分でもできたわ」ということになるはずです。

 

実は、niche regionさんは、文章を書きながら、ほとんどその部分に気づいてしまっています。というのも、まずniche regionさんが「2.洗い出しからカテゴライズ」として書かれていることは、ほとんどが沙村広明だからこそ、あるいは『波よ聞いてくれ』だからこそ、すごい、という話ではなくて、「わかりやすくマンガらしい力を感じるのは」とか「95ページと96ページのリズムもマンガならではだろう」などのように、すべてマンガ一般のテクニックの「すごさ」を語るものになっています。

 

前述のように、niche regionさんは、それを半ば気づいているので、「<いやいやマンガなんだから当たり前の表現でしょ>とも言われてしまいそうだし、確かに他の多くのマンガにおいて同様の手法は繰り出されているだろう」とか「吹き出しの使い分けというのは、これまたシンプルな技であるが」などの断り書きをご自身で入れています。しかし、ではそれがマンガ一般の技法であるとして、沙村広明あるいは『波よ聞いてくれ』だからこそすごい、という部分について、説明がうまくできているでしょうか。どうでしょうか。次のように書いてあります。
「だが、この無駄なく絵と記号が接合されている巧みさは、極限の域まで高められているように感じる。これが息をするように繰り出せるならば、さぞマンガを描くことは楽しいだろう。そう思えてならない」
「これを的確に盛り込める質の高さ…すごいとしかいいようがない」

 

おわかりでしょうか。「感じる」「そう思えてならない」「すごいとしかいいようがない」のように、明らかに具体性を失った、ふわっとした言葉が出てきてしまうのです。マンガを読解して、「マンガならではのテクニックが使われている」部分に気づかれたのはとてもいいことだと思うのですが、それが一般的な作家にできることなのか、沙村広明あるいは『波よ聞いてくれ』だからできることなのか、自分のなかで判然としてないのですね。

 

これを解消するには、①他の作家と比較するか、②自分で作品を描くしかないと思います。しかし①はあり得ないと思います。なぜなら、niche regionさんの目的は沙村広明あるいは『波よ聞いてくれ』のすごさを発見して自分のテクニックとして吸収することであり、作家同士の比較論ではないからです。しかし、そうであればこの文章は沙村広明あるいは『波よ聞いてくれ』がすごい、という話ではなく、漫画全般のテクニックについて分析したものだ、と言った方がいいと思います。つまり上記は、「そもそもその読み解き方はどうなんだ?」というご質問への回答になるかなと思います。

 

ともかく、以上を踏まえましても、マンガの技法を学ぶ上でも、やはりniche regionさんは投稿コースに対して、マンガを投稿した方が本当はいいんじゃないかな、と感じました。しかし、それでもniche regionさんが躊躇なさるのはわかります。なぜなら、「そもそも自分はマンガが描けないし、将来的にも書かないと思っている。だから読解によって技法を学ぼうと思ったのだ」という気持ちがあるからです。

 

けれど、繰り返しになりますが、実際に描かないと、「完全には」、技法は学べません。そして、実際に描いて身につけていない技法は、いざ創作するとなったとしても、使えないと思います。たとえば、ゴルフの教本を読んで、体をいっさい動かさずにテクニックを学んで、「いざ!」と言って、一発でクラブでボールがスパーンときれいに打てるでしょうか。僕はそうはいかないと思います。当たり前ですが、ボールを置いて、あるいは素振りして、あるいは何度もあてながら、ちょっとずつまっすぐ打てるようになっていくのではないでしょうか。

 

どんなことでも一緒です。最初は誰も出来ないし、やったこともないことです。全くできないのに、ガマンして、ムリヤリやってみることで、はじめて「自分にどこができないか」がはっきりとわかり、そして、そこではじめて沙村広明『波よ聞いてくれ』をパラパラとめくり、ふむふむ、なるほどこう描けばいいのか、とわかり、一生懸命それをマネして描いてみることで、はじめてテクニックが身につくわけです。

 

niche regionさんは「自分が最終的に想定しているテキストベースの物語作成へマンガ読解から得たものを活かす」とも書かれていました。つまり、niche regionさんは、マンガを描かないから、文章サイドからいったほうがいいのではないかと考えているわけです。しかし、そうなのであればこそ、そのやりかたではマンガの技法は十全に把握できなそうだし、それ相応の理解のしかたになってしまうと思いますと、お答えせねばなりません。「別に、絵で何をやっているかというテクニックが完全に理解したい訳じゃないから、それでOK」と思われるなら、それでもいいとは思います。ただ、いただいたご質問にお答えするなら、上記のようになるかな、と思いました。

 

ご質問へのおこたえは以上のようになるのですが、いかがでしょうか…あまりご期待には添えてないのかもしれませんが、よかったら、何かの参考にしていただき、今後のご投稿にも活かしていただければ、たいへんうれしいです!!

講師講評ここまで

 

以上になります。

niche regionさん、講評にお申込みいただきありがとうございました!

おわり

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