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白昼夢

ちろきしん

ちろきしん

ネーム

ひらめき☆マンガ教室

制作コース

第8期

課題1

ちろきしん
白昼夢

最初は自分の書きやすいテーマで書こうと考えて、普段毎日書いているブログを漫画にしました。ブログは、漫画を描いたことのない私がこれまで唯一、自分を表現してきた媒体です。今までやってきたことで勝負してみて、自分でないと描けない漫画は何なのかを探してみようという試みでした。その点、「自己紹介を物語として描く」という課題が最初だったことはありがたかったです。課題に関係なく自分のほんとうに描きたいものを描いたつもりですが、それがそのまま課題の要件を満たすものになったと思っています。

漫画の内容は私が毎日感じていることをそのまま描いたものになります。私は現在大学を卒業して東京で会社勤めを始めて二年目になるのですが、ただただ京都で過ごした学生時代に戻りたいのです。働いていて考えるのはそのことばかりです。

プロットを考える上でまず最初に思いついたのは、「シェアハウス」入居の際の思い出の傷を見つめ、そこから角を右に曲がり、「そして、 あの向こうには――」と「シェアハウス」の方角に身体を向ける場面です。それと、会社で京都から切り離された現実から逃れるように白昼夢を見る場面です。そのほかのページは、その間を埋めるように描いていきました。

時間の移動が頻繁でどう説明しようかと悩みましたが、二回の場面転換(会社→シェアハウス、車をぶつけた角→会社)はドアという装置に頼りました。扉を開けたら違うところにいた、というギミックで「シェアハウス」の光景を印象づける効果も持たせられたのかな、と期待しています。

そのほかの、6-10ページのあたりはあまり自信がありません。4Pの場所が「シェアハウス」であることが少しわかりづらかったのかな、とも危惧しています。

ブログの文体の影響のために、結果的にモノローグばかりになってしまいました。会話劇の組み立て方がわからなかったです。それに、キャラが自分だけしかいない状態で話を進めるのもしんどかった。このやり方をずっと続けるのは難しいことに気づきました。ページ数が少なければなんとかなるかもしれませんが……。

参考にしたのは二宮ひかるの『ハネムーンサラダ』と田中ユタカの『愛人』です。まさに参考にしてはいけないとおっしゃられていた二、三十年前の作品で恐縮なのですが、僕はどうしてもこの時代の漫画のような作品が描きたいのです。そのために漫画を描こうと思い立ちました。ご容赦ください。もちろん、描き方に古いところがあれば喜んでご指摘を受けます。何が変わらない表現で、何が古い表現なのかも教わりたいです。