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老川さんの異能力

士隼 久(que)

士隼 久(que)
老川さんの異能力

ネームの講評やコメントで異能力という言葉の使い方が一般的な常識と違うためにわかりにくいというコメントを多くの方からいただきました。それで少し考えてみたのですが、企画当初に考えていたことを16ページのプロットに落とし込むことができていないことが原因だということに気づきました。つまり課題の条件のページ数に合わない企画だったということです。異能力という本来ポジティブな意味を持ちそうな言葉がネガティブな意味を持つこともあるというのは『僕のヒーローアカデミア』の「個性」や『うちのクラスの女子がヤバい』の「無用力」などのように割と一般的に受け入れられると想定していました。読者にそれを納得させるためには、別のポジティブでもネガティブでもない能力者を登場させるなどもう少し説明が必要だったのだと思います。さやわか先生からは異能力という言葉が病理のように見えてしまうという指摘がありましたが、まさに病気や障害が理由で他の人と同じように活動できない人をネガティブな「異能力者」として捉えている世界を描き、その困った「能力」も捉え方次第ではポジティブに使うことができるというような話の流れを作ることが当初の目標で、そのためにはページが足りませんでした。とはいえ完成させることが重要なので、武富先生からの指摘はほぼ修正しました。

想定媒体
NOTE、X_Twitterなど。ウェブで無料で読めるちょっとした短編を想定しています。

工夫した点
・老川さんからの視点がビジュアル的にもわかりにくいということだったので、単に腐敗しているというよりはゾンビ的、あるいはホラー的なわかりやすい「怖い」印象になるように変更しました。

難しかった点
・ホラー的な表現は描き慣れてないので難しかったです。
・背景の有るコマと無いコマのバランスが難しく、時間のない中でなるべく描きたくない気持ちが表れてしまっているので、背景はありつつ余白が生きるような構図をもっと増やせたらよかったと思いました。

お読みいただきありがとうございます。
ご意見、ご感想などなんでも一言でもいいのでコメントをいただけるとうれしいです。

老川さんの異能力

アピール文

『自己紹介を物語として描く』という課題に対して、自分の過去のウェブ制作会社での経験をベースに、もし今もその仕事を続けていたらどうなっていたかを想像してストーリーを構築しました。
キャラクターの老化や心身の不調によって起こる様々な問題を視覚的に表現するため、「新しい流行のものが腐敗して見える」という異能力の設定を取り入れました。作品の価値を判断されるストレスや、流行に合わせる難しさ、世代や価値観の違う同僚との関係など、実際に自分が感じた経験をエピソードに反映させています。
難しかった点は2つあって、まず、プロットが長くなりすぎたため16ページに収めるために内容を削ったことで、やや急ぎ足のダイジェスト感が出てしまったこと。次に、異能力の視覚表現が難しく、読者に十分伝わるか不安な点です。
お読みいただきありがとうございます。小さなことでも一言でもいいのでコメントいただけると嬉しいです。