
古西さんの『邂逅』を読んで
まず、キャラクター造形が素晴らしかった。
主人公のカネヒラは大柄の妖怪ハンターで、メッシュヘア・サングラスに着物姿がトレードマーク。
腕には晒木綿を巻き、黒革の手甲をつけ、懐に『水本しげおの妖怪図鑑』を忍ばせている。
その妖怪図鑑が、セロテープで補強されていると分かる二コマが、たまらない。
フラジャイルなセロテープひとつで、ストロングな妖怪愛を伝えることに成功していて、
読者は「自分もカネヒラのように、何かに夢中になった日々があった」という愛おしい気持ちにさせてもらえる。
つぎに、話の舞台である岩手県遠野は、妖怪などの民間伝承を収めた『遠野物語』で知られる。
著者の柳田國男は、民間伝承の文藝化に慎重で、史実に強い脚色を加えた『金平本(きんぴらぼん)』のような物語になることを好まなかった。
一方、漫画家は史実や事実に敬意を払いながらも、それを脚色し、面白くエンタメ化するのが仕事である。
だから私は、主人公がカネヒラと名付けられたことに注目した。そこに古西の漫画家としての覚悟を感じ取ったのだ。
この作品が、ひらめき☆マンガ教室の第一課題で第一位を飾ったのは、一年のカリキュラムを象徴する出来事だった。
