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【投稿コース】第6期 投稿コース講評:『創作への取り組み②』【1月分】


現在、ひらめき☆マンガ教室第7期の受講生を募集中です。ぜひお申し込みください!

詳細:https://hirameki.genron.co.jp/creators-wanted/
申込:https://genron.co.jp/shop/products/detail/829

 


 

ひらめき☆マンガ教室第6期から新設された投稿コースでは、月に一度、ひらめき☆マンガ+内に投稿したマンガの中から自由にひとつの作品をえらんで講評を受けることができ、内容はひらめき☆マンガ+で公開されます。

 

第6期、1月分の講評には全3作品の申込みがありました。本記事では、niche regionさんの『創作への取り組み②』の講評をお伝えいたします。

 

1.『創作への取り組み②』niche regionさん
講評:さやわか先生

 

受講生アピール文

11月投稿にいただいた講評をもとに再度あらたな物語の作成に挑みました。是非マンガ原案としての御意見をいただけましたら幸いです。

 

講師講評(さやわか先生)

niche regionさん、ご投稿をありがとうございます!

 

さて、11月の講評をもとにして再度、文字ベースでの投稿にチャレンジしたとのことですね。ご自身が課題と考えた部分を書かれていますので、それに即して、以下コメントをさせていただこうと思います。

 

まず、「1.分量の問題」について。「マンガの分量を決めるのはやはりエピソードの数かと考えました」とのことですが、では今回投稿していただいた内容が8ページでおさまるかと申しますと、難しいと思います。

 
理由は、書いていただいた内容は、意図なさったような「4つのエピソード」にはなっていないと思われるからです。

 
「場面①」として書かれている部分を例に、具体的にお話しします。この部分は「初め中学生の女性」が、「どういう両親に育てられ」、「成長後、大学受験が近づき」、「父を刺し」、「穴が空き」、「兄が吸い込まれる」という内容を持っていますよね。まず、お考えいただきたいのは、中学生だった人を大学受験まで描くだけで、かなりの時間の流れがある、ということです。すると当然、実際のマンガにするときには、その時間の流れをダイジェスト的に(コマ切れっぽく)描きますよね。そのダイジェストの1つ1つが全部違うシーン、すなわち全部違う「エピソード」だと言えるのではないでしょうか。

 

ということで、この部分だけでもすごい量の「エピソード」があり、この部分を全部描こうとすると、盛り盛りすぎる内容になってしまう、ということになります。

 

どうしてこういうことになるかというと、おそらくはniche regionさんが物語の「あらすじ」や「設定」を考えてはいるが、具体的なマンガがどんな画面になるかは想定せずに上記の文章を書かれているからではないかな、と思います。前回の投稿について、大井昌和さんがどのようにコメントされたかを思い出してみましょう。大井さんは次のように書かれていました。

 

 

“”漫画原作者は絵が描けない分作画の人にいろいろ楽をさせないといけません。ページの割り振りも同様です。

 
ページの割り振りは当然全体のリズムなどのコントロールもふくまれたりしますし、全体のトーン(雰囲気)の提示も必要ですし、キャラクターの方向性も考える必要があります。

 

もしくは逆に世界観やキャラは作画の人に全部お任せしてストーリーラインだけを考える原作者もいます。””

 

 

上記に書かれているのは、つまりは漫画原作とは「ページに即してストーリーの流れを作ってあげる仕事だ」ということです。つまり「何ページ目にどんな会話があり、どんな行動があって、後半の何ページ目でどんでん返しがあって、このあたりで盛り上がって、終わる」みたいな流れを作りましょう、ということです。

 

したがって、大井さんが「この内容だと20ページ必要だ」とおっしゃっていたのは、実は単に「エピソードの数が多いので、減らしましょう」ということではない、ということになります。何ページ目で何をやって、何ページ目でクライマックスになって、何ページくらいでこのマンガが終わる、という想定を、「具体的に」やらないといけないということなのです。

 
「エピソードが4つだと20ページだと言われたので、2つにすれば8ページでおさまるはずだ」という機械的な発想では、たぶんうまくいかないと思います。そうではなくて、大井さんがおっしゃっていたように、何ページ目で何が起き(あらすじではなく、ページ単位で何が起きるかを書く)、そこでどんな会話があるかを記述していくといいと思います。そうすると、当初の予想以上に8ページでは壮大な物語は描けない(実は、そうなんです!)ということがわかり、ならば自分はこのわずか8ページに何を描くか、という発想になっていくと思います。

 

しかるに、niche regionさんは、創作に踏み出す手前の部分で(おそらく創作に踏み出すことへ逡巡した結果として)、コマをわってキャラクターにしゃべらせてみたり、文章にしても台詞のある脚本のようなものを書くのではなく、あらすじや設定を冒頭から並べて書いてしまい、その結果として、最終的な成果物がどういう作品なのか、見通せないままでいるのかなと思います。

 

これを打破するには、上記したように、「具体的なページに即して、作品として、書いてみる」しかないと、僕は思います。

 

次に「2.新奇性あるアイデア」について。これについても、実はniche regionさんは、「①現代だから可視化されているものや、明らかに過去にはなかったものを盛り込む」「②既存のもの、できるだけ連想の輪から遠い事象を組み合わせる」「③定番、当たり前となっているものの違う道を探す」とおっしゃっていますが、これも創作の前段階の部分で、「そういう案が出たらいいな」という願望を語られているように思いました、つまりこれも、それを踏まえて具体的に作っていくことを繰り返すしかないと思います。今回の作品は、全体があらすじ的に語られているので、どんなふうに①②③を心がけたのかは、ちょっとよくわかりませんでした。「こういう主人公像は新しいと思うのでやってみた!」とか「こういうどんでん返しは面白いと思ったのでやってみました!」みたいな、「具体的な作品としてのアピール」に、なっていないわけですね。

 

これもまた、やはり、打破するには「具体的なページに即して、作品として、書いてみる」しかないと、僕は思います。

 

niche regionさんのご投稿は、「創作をどう考えるか」という部分についての内容が多いですが、個人的には、創作をどう考えるかという理屈は、創作を繰り返しながら形作っていくのが一番たしかに自分のものになると思います。niche regionさんは、創作をする前に「こういうやり方をすればうまくいく(かもしれない)」という方法論を考えることに集中していらっしゃいますが、そうした方法論を考える上でも、創作をしたほうがいいのです。鶏が先か、卵が先かみたいな話のように思うかもしれませんが、絶対に、方法論を先に作ってから創作をするのではなく、創作をした結果として方法論を実感した方がいいと、僕は思いますよ。もしよかったらですが、参考にしていただければうれしいです!

講師講評ここまで

 

以上になります。

niche regionさん、講評にお申込みいただきありがとうございました!

 


 

ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 第7期(2024年4月〜2025年3月まで)の受講生を募集中!第7期の詳細、お申込みは下記ページをご覧ください。

 

詳細:https://hirameki.genron.co.jp/creators-wanted/
申込:https://genron.co.jp/shop/products/detail/829

 

お申込みは先着順です。定員に達し次第、募集受付は終了いたします。

 

おわり

 

 

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