ゲンロン ひらめき☆マンガ教室 第6期 課題2 「 『嫌いな人、嫌いなこと、嫌いな考え方』について描いてください。」ネーム感想
こんにちは。あおたかです。
今回は課題2 「 『嫌いな人、嫌いなこと、嫌いな考え方』について描いてください。」のネームの感想を投稿します。
感想の内容としては以前noteで書いたたものと同じになりますが、改めてこちらのサイトにも投稿しようと思います。
ぜひご覧ください。
今回の課題
『嫌いな人、嫌いなこと、嫌いな考え方』について描いてください。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイト『嫌いな人、嫌いなこと、嫌いな考え方』について描いてください。 | 超・ひらめき☆マンガ家育成サイトゲンロン ひらめき☆マンガ教室は、主任講師を評論家・マンガ原作者のさやわかが務め、幅広くマンガ界で活躍する人材を育成していschool.genron.co.jp
「嫌いな人、嫌いなこと、嫌いな考え方」について描くということで、自分の嫌いなことについて冷静に分析したうえで読んだときに面白くできるかが必要な課題です。自分のことについて書くという点では前回の課題1と通じるところがあると思います。
以下、課題2のネームの感想です。各リンク先で無料で読めます。全部で28作品あります。
ネームの感想
形井中へい 胸センサー
胸を見られるのが嫌だという視点で、胸を見るのを我慢しようという頑張りを認めてあげるお話。
アピール文から自分の中の嫌な部分を物語にしていると感じた。ビームが破壊力がありそうでカッコいいが、やってることは胸を見てると思うと面白い。
8ページ目のなりたくもないフェミニスト~のくだりはよくわからなかった。胸を見てくる(嫌な)男性が多いことがフェミニストになることにつながるのか、そもそもなりたくないのはなぜだろう?
明青りんご(あおりんご) 鬼山さんは厳しい。
仕事場の厳しい上司が嫌いだったが実はいい人なお話。オチもついいててよい。
上司の仕事のダメだしとそれを受けた主人公の感情が共感できる流れだった。アピール文によるともとは3人とのことなので3人のどの要素を組み合わせてキャラを作ったのか気になった。
上司がいい人だった分途中に出てきて陰口を言い合う女Aと女Bの方が最終的に嫌な奴としての印象が強いように感じた。
アキオ 告白
自分の言いたいことを一方的に言ってくる人が求婚してきたという話。
二人の行く末は気になる。相手の状況を知って少し興味を持った主人公よりも山田君の方が本当に彼女を好きかどうか怪しくて危うい気がする。
タイトルと作者名が小さくて最初モノローグかセリフかと思ってしまった。
赤い氷 マンコーの叫び
冒頭に18歳未満の閲覧禁止の注意。
女性器がモンスターになって襲ってくるので怖い(嫌い)という話ではあるが直接的すぎるからかモザイクでよくわからない。この方向でいくのであれば直接的な描写を避けるなど別の表現法が必要になるか。
「性戯の味方」とはうまい言い方。この言葉を思いついたからあのキャラを登場させたのかと思うほど。
前回の課題に続いて姓を扱った独特な作風で、今後もこの感じで突き抜けるのかは気になるところ。
阿山カンフー にくのカンヅメ
閉鎖空間が嫌だという話。
主人公と助けてくれる人でキャラの書き分けはできていると思う。
主人公がいつの間にか隙間に入っているのが不自然かなと感じた。落とし物を取りに行って引っかかってしまったなどの理由があると納得できる。
頭が一番引っかかってるように見えるが出るとき痛くないのか心配になった。狭い場所の嫌な部分があまり目立っていないせいかもしれない。
ばやしあきや 布団は魔境
起きるのが嫌で布団にずっとこもっている主人公と幼馴染のリサとの話。
話の舞台は変わらない(ずっとマンションの中)分、部屋の様子が書かれていていいと思った。
布団から出たくないという気持ちにはとても共感できるのだが友達の誘いを無視するのはよくないと思う。
主人公が布団から出ようとするところはやや唐突感があった。
深田えいひれ 負け戦
ライブをやる前から諦めている二人のアイドルを激励する話。
プロデューサーがアツいキャラでガンガンセリフで押してくるのがよい。課題1に続いてセリフ回しで見せるのが作者の特徴なのかも。
コマ割りも見やすかったのでこのネームベースで完成稿を見てみたいと思った。
ぼんち。人の振り見てなんとやら。
嘘つきが嫌だという話。
メイドの表のかわいさと裏の毒舌が良く描けていると思う。表のメイドがかわいくてよい。
おじさんは終始残念な奴だが、ラストで自分の話にしてるのが寓話っぽくていいと思う。タイトルの時点で予想できてしまうのはもったいないような気もする。
中山 墾 飴屋ちゃんのイライラキャンディライフ
パワハラ上司が嫌な話。過去に暴力をふるった飴屋が機転を利かせて上司に一杯食わす話。
上司の会議での振る舞いや面談時のセリフなどでかなり嫌な奴であることが伝わってきた。
飴屋が飴食べてるのは特徴的なキャラっぽくていいと思う一方、ブラック職場の厳しい事業部出身というのは違和感がある。あんなに分かりやすく飴食べて許されるのだろうか?
ひむか くるっと回ってまた一緒
同調圧力が嫌で周りと合わせないように振舞っていた美香が、志穂とのやり取りを通じて友達と仲直りする話。
最初は突っ張ってた美香が、5ページでピアスの事を聞かれて嬉しそうにするのがかわいい。そこからお揃いのものを身に着ける嬉しさに気づいて歩み寄る展開になるのもいい。
眼鏡をかけた子の影が薄いのは気になる。8ページでは短くて4人全員の見せ場を作るのが難しいのかもしれない。
ほりい泉 捨て
嫌になってしまったものをどんどん捨てていく話。
悪いイメージのついたものが嫌な理由がお話の中で分かるようになっているところがいいと思う。
主人公がかなり衝動的なやつで、好きだった時計も一瞬で捨てたり最終的に母も殺そうとして怖い。職場で穏当にふるまっているところとのギャップも際立っている。
怖い展開とラストの捨てられた花からぼんち。さんの課題1の作品と似た雰囲気のものを感じた。
あい乙いなびこ ポルノ映画の初野(ういの)くん
ポルノ・下ネタが嫌なのにポルノ映画を撮らされる話。
エピソードが具体的で実体験をもとにしてることが生かされていると思う。嫌なことでも頑張ったことを褒められると少しうれしくなるところに共感した。
課題1と異なる作風・絵柄に見えたので、どんな完成稿になるか気になるところ。
やながわけんじ トイレの片岡さん
社長と一人社員の日常話。社員1人の会社っていろいろ大変そう。
不愛想な性格の片岡さんを社長との二人のやり取りで魅力的に見せられていると思う。15ページの泣いてる表情もいい見せ場でかわいい。
アピール文ではトイレットペーパーを使いまくる人が嫌ということだが、そこまで嫌な感じがしなかった。最初呼んだときは片岡さんの不愛想なところが嫌なのかなと思いながら読んだ。
桐山 君とセックスがしたい
好きだった相手が自分のことを好きになってくれると、その相手のことを嫌いになる蛙化現象についての話。
君島(主人公)が神園(ヒロイン)を振るというインパクトのある冒頭→回想で関係性の紹介→ストーリーを進めるという話の流れがきれいで読みやすかった。
1ページ目の下のコマで神園が眼鏡かけてることで勉強ができることを表していることは理解できたが、そのコマ以外では眼鏡をかけていないので不自然なように感じた。
アピール文に書いてあった嫌なことの没ネタに熱が入っていてクスッときた。
mangatime007 ご機嫌いかがですか 敬丘 千鶴さま
姉にいたずらしようとする妹が返り討ちに会う話。
4ページと短い中でちゃんと話が作れている。キャラの関係性(姉妹の間で何が起きてお互いのことをどう思っているかなど)が分かるともっと面白くなりそう。
アピール文にキャラ設定が書かれていたが、三人目のキャラ(戌神)は出てこなかったのはなぜだろう(没になったから?)
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七井一汐(なないつ) スタバのOLトーク
SNSで悪質な金稼ぎをする嫌な人をOL二人で撃退する話。
人の話をパクって稼ぐことよりも男の言動が女性を見下していることの方が嫌な印象が伝わってきた。
注釈の部分は自分は知識があったので問題なく読めたが、知らない人には不親切か。欄外で捕捉するよりはわかりやすい言葉に言いかえるほうがよいかも(コンバージョンが良い→稼げる、エンゲージメントが高い→関心がある、アフィカス野郎→広く使われている別の罵倒表現など)。
藍銅 ツバメ(らんどうつばめ) お狐サマが解釈ちがい
のじゃロリ狐神と神は人智を超えた存在であってほしいと思っている主人公の話。
最初からセリフ多めで二人の掛け合いを楽しむマンガ。5~6ページにかけてセリフがなくなり静かになるところで、オチに向けての間ができているのが上手いと思った。
嫌いなことの理由が単なる好みでしかなくてもう一声ほしいと思った。主人公が好きな「人智を超えた神」についても気になるところ。
くまのぶ 完璧な男
仕事ができるが人に対して冷たい人(矢井田)が嫌だという話。矢井田のせいで仕事を辞めてしまう新入社員がかわいそう。
アピール文にもある通り、嫌なことを言われてむかつく、泣くなど周りの人の反応で矢井田の嫌な部分を表現できているのが良いと思った。矢井田自身は悪気がないように行動している点もちゃんとできていると思う。
ネーム段階ではコマの線が手書きなこともあってか少し読みづらいと感じた。完成稿に期待大。
大須賀健 素直に笑えばいいのに
にやけ顔が嫌なルリとルリの笑った顔が好きなモモカの話。
3~5ページあたりの、変わらない日常を楽しむモモカと東京で楽しんでいるルリコの対比が二人の生き方が伝わってきてよかった。雰囲気も良い。
前半ののんびりした雰囲気の方が気に入っていた分、後半でのホテルの流れがやや唐突に感じた。前半のうちに何かしらの伏線があるとすんなり話に入れたかもしれない。
藤原 ハル きらいなあのこ
陽キャの琴森や周囲の人間をみて嫌だと感じてしまう自分(小梅川)が嫌な話。
9~10ページの、嫌な理由をモノローグで語った後で悲しそうな表情をアップでもってくるところが印象に残った。
性格が大きく異なる二人が出会うところで終わるので仲良くなった後の学校生活がどうなっていくのか楽しみ。琴森の本とおばあちゃんのエピソードは気になる。
小梅川が周囲の視線に耐えられなくなったとはいえ突然飛び出した上、琴森も飛び降りてくる展開はさすがに強引な気がする。
高月晃太 部活だから
いたずら好きでぐいぐい来る理科部の先輩(横仲)にゲジゲジをけしかけられて振り回される後輩(倉田)の話。
課題1のネームよりも誰がどこで何をしたかが分かるように描かれて、話が分かりやすくなっているのが良かった。最後に倉田が一矢報いる展開もいいと思う。
二人ともかわいいキャラだと思ったので、完成稿でどんな風になるか楽しみ。
東京ニトロ ミイラ対巨大ゴキブリ(船橋編)
主人公のミイラが巨大化したゴキブリを退治する話。
ゴキブリが嫌という話なのだろうけども、絵が上手いのもあって巨大化した時の姿が敵として普通にいいのでは(嫌さを全く感じない)と思ってしまった。
ゴキブリを倒すところが何が起きていたのかいまいちよくわからなかった。でかくなってから倒されるのが速すぎるせいかなと感じた。
たにかわつかさ たえろっ!冨永先生
答え教えてくれ君が嫌な話。答えだけ暗記して自分で考える癖がつかないと後々苦労しそう。
先生のリアクションのキャラっぽさが強調されていてかわいい。前半の子供たちをかわいがっている部分と後半の嫌そうな反応が対称的で最後の泣くシーンにつながるのがいいと思った。
最後は先生がクビになってしまうが、暴力をふるったり犯罪を犯したわけではないのにクビになるのはあまりないのではという気がして引っかかった。
ヤギワタル のろまな占い師
人のことを古臭いと見下す人が嫌な話。AI搭載の水晶占いが流行した世界でタロット占いをするカナカナが描かれている。
時代に取り残されているような困惑感が主人公を通して感じる。水晶を落として困っている人を助けようとした主人公が何もできずに話が終わっていくところは移ろいやすい世間に対する愁いを感じた。
今流行りのAIを出すことで現実にもありそうな雰囲気を感じさせる一方、設定が最初に語られるだけで物語的にはAIである必要があまりないと思った。
ねりけし しいたけぐらし
主人公の苦手なシイタケの原木がキャラになってシイタケを美味しく食べれるようになる話。
猫型の主人公やシイタケに青カビなどのデフォルメキャラがかわいく、ゆるふわな雰囲気を楽しめるマンガ。料理シーンもおいしそう。
シイタケが嫌なポイントだが2ページでちょっと説明した後ですぐかわいいキャラになってしまうので最初嫌っていたことを忘れてしまった。マンガとしては問題ないと思うが、課題に応えるという点からは少しずれてしまうように思った。
ヤマオカ兄弟 クズの惑星
UFOに乗ってやってきた宇宙人と主人公とのファーストコンタクトをネタにしたギャグマンガ。
主人公が突然ムキムキになったり宇宙人の伸びる目、唐突に表れるイケメンなど彫が深い絵がちょこちょこ入ってきて不思議な勢いを感じた。
ネーム段階とはいえ、主人公の絵柄が安定していないのが不自然に感じて気になった。2ページ目と3ページ目のキャラが同じだということに初見では気づけなかった。
四日街 くだらないこと
絵を描くことが好きな子供が怖い父に怒鳴られる話。
子供が楽しそうにを書く姿や泣き顔、最後の笑顔など表情の書き分けが上手。父親の怖さも迫力がある。
4ページと短いのがもったいないと思った。子供のことをもっと知りたい。アピール文から察するに制作時間の問題だろうか?
感想は以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。