
【好きなマンガ1冊】「日に流れて橋に行く」9巻
<日高ショーコ「日に流れて橋に行く」9巻(集英社)>
「日に流れて橋に行く」は明治時代末期の日本橋を舞台に、つぶれかけた老舗呉服店「三つ星」を立て直そうと、主人公たちが奮闘する物語です。
どの巻も大好きですが……。この9巻に入っている、卯之原 時子(主人公の一人)と彼女の母親が会話する場面がとても好きです。
時子は女学校卒業後、自宅でニートのような生活をしていましたが、ひょんなことから「三つ星」初の女性店員に採用されます。
ファッションが大好きな時子は、「三つ星」で働く毎日が楽しくてたまりません。
けれど彼女は、かつて女学校に進学する際に、卒業後はすぐに見合いをして結婚することを母親と約束していました。
母親から約束違反を指摘され、家を出ていくよう言いわたされた時子は、次のセリフを返します。
「約束を破って ごめんなさい」
「お母ちゃん 私は――
自分の力だけで 今の道に 辿り着いた わけではないけど
この幸運に 見合うだけの 努力を重ねて
お母ちゃんのように 立派に生きたいと 思っています!!」(p.94)
時子というキャラクターが、自身の甘えを認めることができ、自分が幸運な環境にあることに気づいて感謝できる人物として描かれているところに、とても好感をもちました。
また、「望む生き方を追求するひと」に対する作者の方の見方も表れているように感じられ、好きな場面です。
