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好きな漫画


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はじめの一歩 25巻〜28巻あたり

「森川ジョージ先生、はじめの一歩って知ってる?今原稿預かってきたから、読んでみるかい?」そう言ってお兄さんは取ってきたばかりの原稿を封筒から開けようとその紐をくるくる回し外し始めた・・・。

漫画を描いて持ち込みしに行った時がある。1994年ごろ。当時漫画といえば、ジャンプしか知らない。だからジャンプが偉大すぎて賞なんて無理だから舐めたつもりで講談社へ。そこで私の漫画を読んでくれたのは当時、森川ジョージ先生のご担当されてた若いお兄さんだった。それはまるでコピーをしているかのようだった。何時間もかけて描いた私の原稿1枚1枚をまるでスキャンするかのごとくパッパッパッと目を通していく。そして終わりの35ページ目をスキャンして、「はい、ありがとうございました」と言って原稿をしまい始めた。その間の沈黙は私を帰らせようとわざと気まずくさせるようなものだった。イラッときた私は「どうでしたか?」とお兄さんに聞いた。すると「ま、悪役が最後まで悪役で通せたのがいいね」感想はそれくらいだった。舐めてた講談社。賞狙いの私は納得できない。不貞腐れていると、お兄さんはため息をついて

「森川ジョージ先生、はじめの一歩って知ってる?今原稿預かってきたから、読んでみるかい?」

そう言ってお兄さんは取ってきたばかりの原稿を封筒から開けようとその紐をくるくる回し外し始めた・・・。その原稿は濃茶の封筒から出た瞬間、お光を放つ。原稿の白さじゃない、いや原稿は細かく描き込まれ繊細にして真っ黒だ。なのに光る。「なんだこれは」生原稿が机に置かれた時には目を当てられない。何かお宝を掘り当てたような、そういう充足感が体を満たす。何も知らない当時の私でも、漫画を描く苦労だけはなんとか理解できていた。一体どれだけの苦労を経験すれば、この原稿の完成に辿り着くのか、私のやわな経験値では到底見当がつかなった。底知れぬ、私とこの原稿の差・・・。それが輝きの元なのだろう。原稿は確か一歩が千堂と初めて試合をしたところで、アニメよりもリアルで迫力があり、動きが伝わる。とにかく、スピード感あふれる線が気になって指でなぞっていると「その線一本一本にね、全て意味があるんだよ。どれだけの衝撃、重みがあるのか線のボリュームでコントロールしてる。全て計算して描かれてるんだよね」今度はお兄さんが話し始め、私が黙りこくった。もう何も言えない。お兄さんは賞について語り始めてが覚えていない。

「僕は漫画をあそこまでは愛せない・・・」ただ、そう思った。思わされた。そういう意味で僕を漫画家という進路を諦めさせた作品が、はじめの一歩。

でも、また描き始めた。人生って長い・・・・。結論は変わる。というか未練がましい男。それがTAKIJI。よろしく。

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