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『邂逅』における4つのフリとオチ


『邂逅』(作:古西)は全9ページの短編マンガである。妖怪ハンターとして有名な主人公カネヒラが、実は妖怪に会ったことがなかったが、ある郷土料理店で初めて妖怪と出会うという内容だ。

 

本稿ではこの作品を『フリとオチ』という構造から分析する。作品がどのように読者に期待をもたせ、どう返答しているかを検証する。

 

読者はフリから期待を持ち、その期待が達成されたとき満足を感じる。期待通りの達成、期待を裏切る達成、期待を上回る達成など、達成の方法は複数ある。この作品には4つのフリとオチが仕込まれている。そのうち3つは読者に明確に期待をもたせ、その期待に的確に答える構造で成功している。4つ目のオチは初読時に気づきにくいフリが用意されているが、これは作者の意図的な選択である可能性がある。以下でそれぞれを検証する。

 

1つ目のフリとオチはP2からP3-P4にかけて展開される。P2では店の客同士の会話により、カネヒラが凄腕の妖怪ハンターであることが示される。読者は妖怪を退治する場面が描かれると期待する。しかしP3で、カネヒラは実は妖怪に会ったことがないという事実が明かされる。この期待の裏切りが笑いを生んでいる。

 

2つ目のフリとオチはP5からP6にかけて展開される。P5で来店したカワウチさんは最初から明らかに人間ではなく、カネヒラがノリツッコミのように特徴を丁寧に説明する。読者はカワウチさんが一見して妖怪であると気づき、カネヒラがいつ気づくのか、どんなふうに驚くのかを予想する。P6でカワウチさんがカッパであることが明かされ、黒背景に大きな書き文字とカネヒラの驚きの表情で効果的に演出される。読者は予想通りであることに納得しつつ、カッパの造形のかわいさと視覚的演出の巧みさを楽しむ。

 

3つ目のフリとオチはP1からP8にかけて展開される。P1ではカネヒラがテレビに登場する場面が描かれるが、その絵のタッチが他の登場人物と比べて浮いている。このことでこのタッチのギャップを使った演出への期待がかすかに生まれる。P8でサングラスを外したカネヒラがきらきらした目で少女マンガの恋愛場面のようなトーンのエフェクトと共にカッパを追いかける場面が描かれる。かすかだった期待が実現したという驚きと、視覚的なおもしろさが予想を上回るという満足感を読者に与える。P1の時点で既にこのギャップを生むためのキャラクターデザインが仕込まれていたことになり、演出の巧みさが際立つ。

 

4つ目のオチはP9で展開される。店にいる客も店員も全員が妖怪だったという結末である。このオチに対するフリは存在する。モブキャラの一部には小さく牙が描かれていたり、目が髪で隠れていたりする。しかしこれらのフリはさりげなさすぎて、初読時には気づきにくい。他の3つのフリとオチが読者にすぐ気づかせる構造だったのに対し、この4つ目だけは読み返さないと気づけない構造になっている。もう少しわかりやすいフリが用意されていれば、作品全体のわかりやすさという特徴を維持でき、より効果的だったと考える。ただし、作者が意図的にフリを弱めた可能性もあり、その意図が明確であれば、必ずしもわかりやすいフリである必要はない。

 

『邂逅』は読者に期待を持たせ、それに答える構造を持った作品である。3つのフリとオチは期待を裏切る方法、期待通りに答える方法、期待を上回る方法とそれぞれ異なる達成方法で成功しており、読者を飽きさせない工夫が見られる。4つ目のオチについては、あえてフリを弱めることで驚きの効果を高めようとした可能性もある。いずれにせよ、本作は読者との対話を重視した作品として高く評価できる。

 

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以上が感想文、以下はアピール文になります。

文章を書く訓練を受けたことがなく、感想文の書き方がまったくわからなかったので、AI (Claude)に質問しながらこの文章を作成しました。作品から感じたことをメモした箇条書きの羅列とあらすじをテキスト化したものをAIに渡して、文章化してもらい、おかしなところは質問しながら修正していき、最終的に微調整するという方法で作成しています。

結果的に自分では書けない論理的整合性のとれた硬めの文章ができあがりました。ワークショップ課題の要求に答えられているのかはわかりませんが、普段何か作品に触れた時の感想は箇条書きのメモをとる程度だったのですが、結論のある整合性のある文章の形にできたことは有意義な経験でした。

 

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公平性のためにAIに渡した最初の箇条書きもここに記載しておきます。読む必要はありません。

タイトル案「邂逅」は読者の期待にどう答えたか。

 ・P1主人公の造形と絵のタッチから 読者が期待すること、絵のタッチのギャップをねらった演出がありそう。これはP8の「河童さん待って…!」達成されている。 

・P2凄腕妖怪ハンターであるとうわさされるカネヒラ、 読者が期待すること、悪い妖怪を退治するシーンがあるのかな? 実は妖怪には会ったことがなかった。 期待をいい意味で裏切ることで笑いとして達成している。

 ・P5来店したカワウチさんは最初から明らかに人間ではない、 そして主人公から丁寧なノリツッコミのような解説が語られる。 そしてP6で期待通りにカッパであることが説明されることで達成している。

 ・そして、他の客たちと店員たちもは実は妖怪だったというオチ。 これはわかりやすく期待させる場面が描かれていない。それによって読者を驚かせるという報酬は与えている。しかし、欲を言えばここにもあとから読み返して気づく程度でもいいからフリを入れてあるとより満足度は高まったかもしれない。 

・このように3箇所の期待と返答はそれぞれ種類の違う方法で達成されていることによって読者の満足感につながっている。

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