
ひらマンのコトバ#7:「アマチュアが大オチだと思ったところは、だいたいプロにとってはスタート地点なんです。」(上山道郎先生)
11月8日の上山道郎先生の講義を(オンラインですが)受講しました!
ひらマン初登壇だという上山先生はマンガ家としてひじょうに長いキャリアを持ちつつ(マンガ制作にコンピュータを導入したり個人サイトを持ったマンガ家としても最初期の作家だとのこと)、最近ではSNSでバズったところから連載となった異世界転生マンガ「悪役令嬢転生おじさん」も手掛ける精力的なマンガ家さんです。
今回マンガ教室のゲスト講師を引き受けたきっかけも、「悪役令嬢転生おじさん」の構想段階の体験にあったとのこと。異世界転生マンガを始めるにあたり手当たり次第異世界転生マンガを読む中で、マンガの読みやすさについて編集からきちんとした指導を受けていないと思われるマンガを少なからず目にしたことで「児童マンガで口を酸っぱく言われた自分としては、作品が不憫でならない」と感じたのだそう。「コロコロコミックで最初に言われたのは、生まれて初めてマンガを読む読者にもわかるように描けということ」と上山先生。読者にストレスなくおもしろさを伝えるための細かなノウハウを後進のマンガ家に伝えていけたらと考えているそうです。
今回の課題「短いネームを作る」は、上山先生が児童誌「テレビくん」で戦隊ヒーローの新番組の内容を6ページや8ページに凝縮して(しかも児童にわかるように!)伝えるマンガを何度も描いたことで鍛えられたという経験からの出題とのこと。当然全部は入らない全体のストーリーのなかで、読者がいちばん見たいシーンを見開きや大ゴマでおもしろく見せるために、ほかをいかに省略しつつ見どころにつなげるか。実際に自分の好きなアニメやドラマの1話を6ページのネームにするのも勉強になるそうです。
コトバとして選んだのは、わたなべ恵さんの課題提出作「夏の思い出」の講評での上山先生の発言。オチを思いついてネームの全体像が決まったところがゴールではなく、そのアイデアを魅力的に見せるための演出のスタートだというお話で、ストーリーをいかに省略して短いネームに凝縮するかという今回の課題に求められるスキルなのではないかと思いました。
