
マドモアゼル・モーツァルト 2巻
初めまして。山本むさと申します。
自分が好きなマンガは
福山庸治先生の「マドモアゼル・モーツァルト」2巻です。
マドモアゼル・モーツァルトのあらすじは以下の通りです。
18世紀末、音楽の都ウィーン。平凡な楽士の娘エリーザは、音楽の天分を父親に見込まれ、「男」として育てられることに。神童はやがて、楽聖“モーツァルト”となり、ヨーロッパ音楽界を席巻する。無邪気な天才と、複雑に絡み合う周囲の愛憎。
なぜ2巻が好きなのか。それは、2巻で起こる大きなイベントと、そのイベントの演出が好きだからです。
- モーツァルトの父が病に倒れ死亡する→ショックを受けたモーツァルトが、女性らしく振る舞おうとする
- サリエリがモーツァルトを女性だと確信する
モーツァルトが父の死を必死に受け入れようとしたが故の「男としての姿を捨て、女らしくする」という振る舞いを描くページの演出が好きです。
妻のコンスタンツェに困惑され、呆れられ、突き放されながらも妻の服を借りて豪華に着飾り、サリエリの演奏会へお出かけするための支度をしていきます。その中でしゃがみ方であったり口調、笑い方に「男」として振る舞うために(無意識に?)身に着けたものが出てしまうのです。空回りしている、痛々しい描写なのです。
父親が病に伏していると知った際のモーツァルトの演出は「演奏会を観に来てくれた父親に嬉しさのあまり抱きついた瞬間、父親が亡骸になり、沈んでいく夢を見る」という、王道というか、わかりやすい苦しみの描写なので、余計にそう感じられます。
演奏会に到着した後のサリエリがモーツァルトと対峙するシーンは「気持ち悪さ」の演出が本当にうまいです。紳士的に声をかけるシーンも目が笑っていないのです。また、黒背景をバックにモーツァルトを無言で「ジッ…」と見つめるコマが何回も出てきます。

サリエリは、モーツァルトへの好意を「彼は男だから」という一点で抑えていた(全く抑えきれておらず、ずっとモーツァルトを視線で追っていましたが)キャラクターでした。モーツァルトが女性であると確信したことで好意を抑えきれなくなったサリエリの情熱的な視線と、それを際立たせる黒背景が本当に美しく、お気に入りです。

「黒背景」や「まっすぐな視線」を使った不気味さの演出に対する憧れがあるのは、この作品の影響が強いと感じています。
自分もいつか、誰かに不気味に思われるキャラクターを描きたい…!そう思います。