私の心の1冊は、宮野ともちか「ゆびさきミルクティー」第6巻!
ヤングアニマルで2003年から2010年まで連載していたこの作品。
少し古いマンガですが、今なお一見の価値ある珍品です!
主人公・池田由紀は、女装趣味の男子高校生。
年下幼馴染・森居左とクラスメイト・黒川水面との恋愛に悩んでいます。
彼らの三角関係がメインの本作ですが……主人公が異常に惚れっぽい! 誰かれ構わずムラついている。
メインヒロインの他にも、自分の姉や男友達にもトキめいていて、読者がドン引いてしまうほど。
とにかく惚れっぽい主人公の由紀。
第6巻では、なんと「女装した自分自身」に恋をしてしまいます。
女装した自分自身は、女の狡さを持たない、理想化した女性像。
自分が成長して男らしい身体になれば消えてしまう儚い存在。
自ら作り出した虚像への恋心に気づくシーンには、忘れられないインパクトがあります。
「触れたい」「キスしたい」というモノローグ。
熱っぽく鏡を見つめる表情。
主観的な盛り上がりをアップで見せています。
めくりを挟んで次のページでは……
鏡を見つめる由紀・鏡に映る由紀をロングで描き、より客観的に状況の異常さを見せています。
モノローグもまた、
「バカだな… 俺は「ユキ」に… 自分自身に恋をしてしまったとでもいうのか」
と、一歩引いて自分を見つめる内容になっている。
どう考えてもおかしな主人公なのに、表現が巧みで、ついつい彼に感情移入……!
読んでいると自分まで変になってしまうようで、お気に入りの作品です。