
【ゲーム】『勇者のくせになまいきだ。』【No.5】
その昔、SONYからPSPという携帯ゲーム機が販売されていた。PSPは無線LANが標準装備されているという革命的なゲーム機で、気軽にネットにアクセスできたほか、疑似的なミュージックプレイヤーとして使えたり、カスタムファームウェアを用いて改造できたりして、拡張性がすこぶる高く、大変な人気を得ていた。
『勇者のくせになまいきだ。』はそんなPSP専用のゲームとして、2007年に発売された。

2007年といえばぼくはまだ小学生で、やりたいからといって、好きにゲームソフトが手に入るような環境で生きてはいない。もっと言えば、ぼくのPSPは小学生新聞の懸賞で当てた代物で、持っていたゲームといえばそのおまけについてきた『三国志Ⅴ』だけだった。
とはいえ三国志ⅤはBGMの出来もよく、シリーズの中でも評価が高いナンバリングだったのでゲーム自体には非常に満足していたのだが、それはそれ。これはこれ。
上述した通りPSPはネットに接続できたため、ゲーム屋さんに行かなくても公式サイトから体験版をDLして遊ぶことができた。今の人には想像がつかないだろうが、その昔はDL販売などという概念はないに等しかったので、体験版というのは当時のぼくにとって甘露が如くありがたく、神々しいシステムだった。
体験版が作られていたソフトには、表参道で大々的にコマーシャルを打っていた『ロコロコ』や、PSというゲーム機でキラーソフトとなっていた『サルゲッチュ』シリーズなどがある。そんな中に混ざっていたひとつのタイトルが『勇者のくせになまいきだ。』だった。
『勇者のくせになまいきだ。』においてプレイヤーは、中世ファンタジー風の世界観に基づいた魔王に召喚された破壊神となり、勇者一行から魔王を守るためにダンジョンを作ることになる。今となってはぴんと来ないかもしれないが、当時は、この世界観の中で勇者の側ではなく魔王の側に立つというだけで珍しかった(少なくとも小学生には!)。さらにこのゲームは「ダンジョン・マネージメント」という、フリーゲームブームの中で根強い人気を誇っていたタワーディフェンス(味方キャラクターや防衛施設をマップに配置して、侵略してくる敵を迎え撃つというタイプのゲーム)型ゲームのようでありながら、それとも一味異なるゲーム性を持っていたので、ぼくはすぐに熱中し、一心不乱に体験版をプレイしていた。
何を言いたかったのか忘れてきた。
そうだ。
この『勇者のくせになまいきだ。』を、あのころ、憧れにあこがれを重ねて何十回、何百回と一面だけ(体験版だから最後までプレイできないのだ)を繰り返した『勇者のくせになまいきだ。』を、大人になった今、改めて手に入れてプレイしたのである!!!!
大人って素晴らしい。
夢にまで見たドラゴンマンションを作ってやったったぜ!!!!
……負けたけど。
あれって勇者を呼び込むタイミングによってはあっさりと魔王が連れていかれて結構難しいのだ。
ぐぬぬ。生意気な奴らめ。
というわけでいつまでも20年近い過去のゲームをやっているわけにもいかないので最後はバグでもなんでも使い倒してクリアしてやった。
いえーい。
ちょっと悔しい。
おわり