【本】『吉本隆明全マンガ論 表現としてのマンガ・アニメ』を読んだよ【No.3】
このブログで触れた吉本隆明。彼がマンガについて何やらした本が出ているらしいと知ってとりあえずぽっちった本であるところの『吉本隆明 全マンガ論』(著:吉本隆明、小学館クリエイティブ)。たいそうなタイトルのくせにマンガ・アニメについての言及は大したことないので、そういうのを期待してる人は回れ右。でも普通に昔の偉い人が”若者のモノ”とされた作品をどう楽しんだのか、どう困惑したのかとかは分かりやすい一冊なので、そういうのが好きな人は買い。
どっちかってと対談の方がおもしろかった。特に宮崎勉事件を引き合いに出しながら宮台真司について語る大塚英志とか、萩尾望都の作家生命を刈り取るつもりなんかと思うくらいにクリティカルな話をしたがる吉本隆明とそれの対応とか。めっちゃおもしろい。
論考系では『磯野家の謎』(いわゆる謎解き本とかのはしり、のはず)に対する文章の中で、
べつのいい方をすれば、作品のなかの真実を解釈するのに編者たちが作品のなかに入り込んで事実であるかのようにみなし、そこで解釈を成り立たせている。
『吉本隆明全マンガ論 表現としてのマンガ・アニメ』(小学館クリエイティブ)p40
と書いてあったのが一番良かった。とはいえこれは「(ぼく個人の)現在の関心に抵触しそうだ!ワクワク!!」という類の愉快さなので、他に人にとってはあんまりかも。
興味のある人はぜひ~。
おわり