漫画を読んで、ちょっと考えたこと 回想シーンとコマの形
漫画を読んでいて、ふと気になったことがあったので、少し書いてみようと思います。
登場人物が過去を振り返って、回想シーンが挟まることがありますが、過去と現在の場面が、ゴチャゴチャになったり、混乱したりしないで読めているのはどうしてだろうと、とても初歩的なことなのかもしれませんが、そんな疑問がわいてきました。何かカラクリがあるのかなと思い、ちょっと手近にある漫画を見直してみました。
『めぞん一刻』を開いてみると、響子さんが過去を思い出す場面が出てきました(小学館文庫の『めぞん一刻』2巻、69~72pくらいのところ)。遠くをみるような響子さんの顔が描かれ、過去へと移るのですが、過去のシーンが始まるコマが、一部溶けているように欠けていました。じんわりと記憶の中に入っていくような感じがしました。
『この世界の片隅に』(双葉社、下巻37p~44pくらい)では、過去のシーンは、定規を使わずに描いたような線で描かれていて、現実の場面が途中で何度か挟まるのですが、そこは真っすぐな線で囲まれていました。
少しよれたような線であることで、記憶の中の出来事のおぼろげで、不安定な雰囲気が伝わってくる感じがしました。
二つの作品をざっと見返てみて、コマの形に変化があることで、過去へと場面が移動したことがより分かりやすくなるのかなと思いました。また、コマの線がどう描かれているかで、受ける印象がだいぶ変わるのだなと気がつきました。
とりあえず、ここまで、少し考えたことを書いてみました。
コマの枠の形で表現できることが色々あるんだなと、漫画のなかで使われている表現について、以前よりちょっと理解が深まった気がしました。