【放談】マンガのページごとコマ数を数えた研究がすでにあった話【No.6】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/designresearch/82/0/82_54/_pdf/-char/ja
↑「ストーリーマンガのコマに関する基礎的研究 ―購買数上位ストーリーマンガ作品群を対象として」という名前の論文が存在していた。しかも2021年に。なんて便利なんだ。ありがとう世界。
とはいえ、研究という形式ばった業界の例にもれず、正しさや格式を重んじている側面が強いため一読すると「これ流石に実用としてはアカンな」というのはすぐにわかった。
「アカン」というのは役に立たないという意味でも、研究として無意味だという意味でもない。研究という体を保つために生じている無理があるということだ。いまだマンガを研究するための知見が世界規模で圧倒的に足りていないのだろう。
ぼくがまず思ったのは、「コマの定義がさすがに恣意的にすぎる」というのと「マンガ(のコマ)にも流行(≒言語ゲーム的な要素)があるという視点が抜けている」ということ。だが、そんなことはどうでもいい。この研究をしてくれている人がいたことに多大な感謝をしたい。大学とか、研究っていうのは先行研究が生まれるだけで歩みが早くなる世界なのであるからして、この論文がこうやって世の中に発表されていることそのものが最も大事なのである。
谷岡さん本当にありがとう。
ちゃんと読むと
しかしながら重要な情報が記載される場合にコマは大きくなり、必然的にコマ数が減ることから、「仮説ⅱ.最初のページのコマ数は全体のコマ数平均よりも少ない」、「仮説ⅲ.最後のページのコマ数は全体のコマ数平均よりも少ない」とする。
資料4には、主に「メリハリ」という語で示される、1 作品を通してコマの大きさを変化させて演出をすることの重要性が語られている。これを「仮説ⅳ.全体を通してコマ数を変動させ緩急をつけている」とする。
とか書いてあって面白い。ここはロジックを詰めないでいいのだろうか。
コマの遷移とストーリーの関係が考察されているのが良かった。
それと、コマの取り扱い(定義)に困ったであろう苦労が読み取れて思わず共感してしまう😿
ちなみにこの論文は『マンガのコマ数を数えるプログラム』と検索したら出てきた。
そしてマンガのコマ数を数えるプログラムは手に入らなった。かなしい。
おわり