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【投稿コース】第6期 投稿コース講評:『穴。場面①』【2月分】


ひらめき☆マンガ教室第6期から新設された投稿コースでは、月に一度、ひらめき☆マンガ+内に投稿したマンガの中から自由にひとつの作品をえらんで講評を受けることができ、内容はひらめき☆マンガ+で公開されます。

 

第6期、2月分の講評には全2作品の申込みがありました。本記事では、niche regionさんの『穴。場面①』の講評をお伝えいたします。

 

2.『穴。場面①』niche regionさん
講評:さやわか先生

 

受講生アピール文

前回の講評を受けネームをはじめて描きました。場面①の一部まで申し訳ありませんがご好評いただけましたら幸いです。

 

講師講評(さやわか先生)

niche regionさん、ご投稿をありがとうございます!

 

1月にご投稿なさった作品の案をマンガにしたものということですね。拝見しました!まず、構図やリズムのある(=構図の意味が成り立っている、マンガのコマ運びとして適切である)コマがいくつか見受けられたのが印象的でした。

 

具体的に言うと、たとえば3ページ目1~3コマです。①兄が机に向かっているところにモノローグがかかり、②それを覗き見ている語り手のアップがあり、③それら全体の状況がわかる引きの絵が入る。こういうのは、とてもマンガのコマ運び的なものだと思います。おそらくマンガを描かれたのははじめてかと思いますが、いろいろなマンガを読まれた経験があるから、実際にマンガを描くときにそういう構図やコマ運びが自分の中から出てきたのだと思います。これは、とてもいいことだと思います。

 

一方で、作品全体としては断片になっており、つまり物語として成立しておらず、あまり判断ができないものだと思いました。これは何が原因かというと、そもそもの話として、やはり1月にご投稿なさった作品案が長大であり(想定する作品のボリュームが大きすぎて)、結果的に描ききることができない、ということだと思います。文字ベースで作品案を練った結果、大井さんから「20ページくらい必要」というコメントがあり、それを直して8ページくらいに収めようとした案も、やはりほとんど冒頭部分、すなわちモノローグで語られる3ページの回想であり、主人公の記憶を語って終わりになっています。つまりこれは作中の「現在」が始まっておらず、まだどんなドラマも起こっていないし、誰も会話をしていないことになります。そういう、まだ何も起こらない3ページで力尽きてしまうほど、最初に書いた文字ベースの作品案は、サイズの大きいものだった、ということになると思います。

 

しかし、ひらめき☆マンガ教室では常に「失敗するのはいいこと」だとお話ししています。なぜなら、「実際にやってみて、そして失敗しないと、それがうまくいかないことであり、次は違うやり方をしないといけないことだと気づけない」からです。今回のケースはまさにその代表例だと思います。つまり、niche regionさんは、実際に描いてみたことで、まず①実際にネームを描くと自分が3ページしか描けないことがわかったとも言えると思います。そして次に、②文字ベースで考えていた内容が、全然サイズが大きすぎることに気づけたのではないでしょうか。さらに言えば③かなり冒頭をコンパクトに端折らないと、物語の前提となる過去のシーンを描くだけでその3ページを使い切ってしまう、と言えると思います。

 

この、今回得られた①②③という経験から、「確実に完成させられる次の作品」をどう作るか、考えていくといいと思います。まずは、自分が描けるのが3ページなのであれば、今回の話の続きを描くことは無理だと思います。それは今回はやめたほうが、自分の物語の鍛錬になります(それをやるならもっと修練を重ねて、たくさんのページ数が描けるようになってからやるといいと思います)。そのかわりに3ページ以内で終わる、ごく小さな物語を描くべきです。つまり、自分に描けるページ数を確定させて、それに合ったエピソードを作り、それを確実にこなすのです。バーベル100kg挙げるぞ!と床に置いたバーベルを手にしてぐっと力を入れていてもトレーニングにならないように、もっと軽い重さを確実に挙げられるようになるところから、ちょっとずつ重さを増やしていくべきです。

 

3ページだとすると、もう、物語の背景をゆっくりと語っていくことは不可能ですから、文字ベースで設定をいっぱい記述していく必要もないはずです。だからそういうやり方ではなく、前回にご講評さしあげたように、ページの上に何を載せて、どんなドラマを起こすか、だけを考えます。たとえば僕だったらもう、「誰かとコンビニに行っておにぎりを買い、それをどういう会話をしながらどう食べるか」くらいの話にしてしまいます。それだけでも、十分に「物語」は作れます。それを、実際の、つまり作中の「現在」の人物、会話、シチュエーションとして描きましょう。

 

冒頭で申し上げたように、niche regionさんの今回の作品には、マンガっぽい構図やコマ運びがありました。これはマンガを読んだ経験が反映されたもので、いいことだと思います。しかしそうであれば、3ページ以内の作品で描けるシチュエーションと話のオチを考えて、過去に読んだ経験から(あるいはいろんな作品をあらためて見直して)、その3ページで使うべきコマ割りや構図を描いてみるといいと思います。

 

よかったら、上記した内容をお役立ていただけるとうれしいです。

講師講評ここまで

 

以上になります。

niche regionさん、講評にお申込みいただきありがとうございました!

おわり

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