きらきら眼鏡
ある日、ある学校の午後4時、放課後、浮丘 綾子は、今日も足を軽やかに校舎4階の囲碁部の部室に向かった。
浮丘 綾子「あ、ご苦労様です。部長!」
囲碁部、部長「あ、いつも、早いね。」
学校の4階の使われてない教室を借りて囲碁部の活動が行われてる。
部長、及び部員の綾子たちは机と椅子を片しながら部活の準備をしていた。
そして、10分後部室のセッティングが終わる頃、部屋のドアからノックがされた。
阿部御 相輝「失礼します」
身長178ぐらいはあろうか、片手にバッグ、もう片手に小説本を抱えて現れた。
文学青年ぶっているかのように、黒縁メガネを掛けている。
阿部御 相輝「あっ設置は終わったのですね。」
阿部御 相輝「うーん、ここに、たどり着くまで15ページ残ったが仕方ない。」
阿部御 相輝は、読みかけの左手に持った小説本を閉じた。
阿部御は、その時、少し遠くの正面に視線を感じた。
阿部御は、その視線に顔を向けた。同じ部員の浮丘 綾子が、控えめに見つめていた。
阿部御は、「やあ、」と、左手に持った小説本を掲げながら答えた。
浮丘 綾子は、「あの、今日は、対局をお願いしていいですか。」
阿部御 「いいですよ、さっそく、始めましょう。」
阿部御と浮丘さんは、席について対局の姿勢を取った。
浮丘 綾子は、カバンからメガネを取り出して掛けた。
もくもくと15分の時が過ぎた。お互い囲碁を始めて間もない同士、接戦をみせるような対局であった。
であったが、そのさらに5分後にあっさりと決着がついてしまった。
阿部御の勝ちである。
浮丘 綾子「まだ、始めたばかりなのに、強いですね。」
そう、阿部御に話しかけた。意識するかのように綾子の伊達メガネを掛け直すふりをしながら、浮丘 綾子は、最近かけだした、伊達メガネをアピールをしていた。
ほらほら、私、最近、メガネをかけだしたのよ、早く気付いて、メガネを掛けた、私はどう?
と、心の中でつぶやきながら、阿部御の顔を見つめていた。
阿部御 相輝「いや、僕この間まで運動部にいたから、この勝負たまたまですよ。」
阿部御 相輝、心のなかでなんか、こう、見つめられるとなんか、やりにくいな。
それに、勝負の間、この人、碁盤より僕の顔をずっと、見つめていたような・・僕のほうが強いというより、ずっと、よそ見をしていたから、負けたのでは?
阿部御 相輝「ふーむ、これは、とても興味深い。」
浮丘 綾子「えっ?」
その時、トトトと、廊下を駆ける足音が聞こえた。そして、ノックもせずドアを開ける人物がいた。
その人物は、そのまま、駆け足で浮丘 綾子と阿部御 相輝の対局の席まで駆け寄った。
その姿は、浮丘 綾子の妹、浮丘 千鶴であった。
浮丘 千鶴「お姉ちゃん、今日の夕食の買い物をしていたら、途中でお金が足りなくなったから、お金、貸してちょうだい。」
浮丘 綾子「ちょっと、千鶴、あんた、何考えているの、ここは、あなたの通っている学校とは、違うのよ、物怖じしないというか、無鉄砲だわ。」
阿部御 相輝は、少しびっくりした顔をしながら「ああ、あは、その人があなたの妹ですか、よく聞いてますよ、噂で、この新居町のヒロインですもんね。」
浮丘 千鶴「はーい、私が新居町代表の美少女、浮丘 千鶴でーす。」
浮丘 綾子「そういうところがいけないのよ!」
そう言うと、綾子は、千鶴の頭を思い切り殴った。
浮丘 千鶴「ぎゃあ!」
浮丘 千鶴は、倒れた体を押し上げると・・
浮丘 千鶴は、姉の綾子を見つめながら「うん、お姉ちゃん、その眼鏡、昨日、買ったばかりの、早速掛けてますね、目が悪くないのに、うん!」
阿部御 相輝「えっそうなの?」
浮丘 千鶴「うん、この間まで、イオンのスーパーで必死にバイトをしていたよ。昨日も同じ、イオンで働いている、狐葉さんがそう言っていた。なんか、気になる人がメガネを掛けていたから、気を引くためにバイトを頑張っていたんだって、by狐葉。」
浮丘 綾子「わああああああああああ!」と叫ぶと。
その時、間髪入れずに綾子は、両手を組んで阿部御 相輝の頭を叩き伏せてしまった。
床に叩き伏せられてしまった、阿部御は、ピクリとも、動かなくなってしまった。
浮丘 綾子「しっかりして、阿部御さん!」
浮丘 千鶴「お取り込み中悪いけど、お金を貸して、それと、気になる人は、誰?誰にも言わないから、早く教えて。それ、聞いたら帰るから。」
浮丘 綾子「お前は、もう、しゃべるなああ!」
その会話を聞きつけた囲碁部の部長がやってきて、こう、つぶやいた。
部長「今の会話、彼(阿部御 相輝)にぎりぎり聞かれたか五分五分ですね。明日の部活が面白くなりそうですね。」
浮丘 綾子「お願いですから部室の掃除でもなんでもしますから、阿部御さんには、黙ってください。お願い。」
浮丘 千鶴「???、ねえ、気になる人は、誰?この部長さんとか、言う人?」
綾子は、もう一度、千鶴の頭を殴りながら、
浮丘 綾子「絶対、違うわあああああああああ。」