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ねまキ

ふたりで黙々と、土の道を歩いている。遠くには、厚く雪化粧した高峰が連なっている。

こちらに来てから知り合ったあなたには、華僑の血が四分の一、ラオスの血が四分の一流れている。生まれ育った街でも、ふたりで歩くとよく一緒に外国人と思われて、屋台のおばちゃんやタクシーの運転手から英語で話しかけられたりする。

絵を描くのが幼い頃は大好きだったのに、だんだん苦手意識をもち描かなくなっていた。大人になりコロナ禍が終わった頃から、物語をつくることに強い関心をもちだした。

土の道は、段々畑の斜面を這うように曲がりくねりながら、淡々とつづいていく。ゆるやかな道をつたい、ゆっくりと山を登っていく。ふたりとも、その日その日の現在位置と高度を記録しながら旅している。空も谷も遠くの山も、景色を形作るパーツのひとつひとつがとにかく大きい。

インクの染みから広がる世界の奥行きには、ずっと圧倒されてきた。指先から予想外の線やことばが出てきたときが、一番楽しいかもしれない。

たしかにあなたは、隣にいる。一緒に旅しているのだから、お互いの記録はいつも同じになる。同じになるはずなのに、ふたりの記す高度の数値がすこしずつズレていく。ズレてはいてもこの掌のさきに、あなたを感じる。
だからここに来ました。

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