
好きな漫画「ピンクの液体」華倫変

(※ネタバレあります)
「カリクラ(上)」 「完本カリクラ」に載っている短編作品です。
年齢を誤魔化してクラブで働いている主人公の女性が、医大生の男性に買われて、試作中の薬の実験台される…という話です。
冒頭で、主人公は男性の同情を買うために自分の悲劇的なエピソードを語るのですが、男性はあまり興味を示しません。
主人公は、暇なのでほぼ毎日男性の家に通います。男性の家で寝ている時はあまりささいなことを気にしなくなるのでいいな、と感じています。注射の練習台になったりして、お金を貰うようになります。
男性も、主人公に心配の言葉をかけるのですが、実験対象としての言葉かもしれません。眠れない主人公に、自分が試作した睡眠薬を勧めます。
そんな中、男性の薬を投与した別の女性が過去に死亡した、という事実が明らかになりますが、主人公は自分の意思で薬の投与を継続します。そして、どんどん体調が悪くなっていきます。
主人公は、「私 死んだら嫌?」と男性に尋ねます。「嫌だなって思うよ」と返答が来ます。
そして、死に向かっていく不安と共に、心地よさを感じるところで作品は終わります。
なにかが解決するわけでもなく、大きく変化するわけでもなく、物語はネガティブな方へと向かっていくのですが、不思議なことに、その中になんともいえない光のような、救いのようなものがあります。それが大好きな部分です。
自分の生死を相手に委ねること、最期まで見届けてもらえるかもしれないこと、死んだら嫌と言ってくれたこと、そんな相手がいたら、もう死んじゃうのも悪くないなぁと、満たされた気持ちになれるかもしれないなと思います。
華倫変作品は全体的にそのような感じで、性と死をモチーフにネガティブな結末で描いている作品が多いです。ザカザカした雰囲気の絵柄も大好きです。
作品に登場したそれぞれの女の子たちのことを時々ふと思い出したり、華倫変先生のことも考えたり、自分の中の片隅に静かに存在しているような感じがします。
★おまけ★
「好きな漫画を1冊」紹介するとのことでしたが、下記の作品ともかなり迷ったので(特に上2つ)タイトルだけ記載してみます。おすすめです…!
・岡崎京子「私は貴兄のオモチャなの」
に載っている同タイトルの短編
・高野文子「棒がいっぽん」
に載っている「美しき町」
・魚喃キリコ「南瓜とマヨネーズ」
・いくえみ綾「私がいてもいなくても」
