
ひらマンのコトバ#4:「テーマはどう決めるかというと、ググるんです。テーマっていうのは人々がそう思いたがっていることでしかないんです。」(さやわか先生)
8期第4回授業を現地受講しました! 第4回はひらめき☆マンガ教室のなかで「ひらめき回」と呼ばれている制作生の提出作品講評がない授業で、どういう内容かといえば、ひらめき制作コースの受講生のみなさんが一人づつ壇上に上がり、主任講師のさやわか先生と話をしながらひらめき☆マンガ教室の期間でどういった活動がしたいか、その目標のためにさしあたり12月までに「絶対やること」を決めるという、ひらたく言うと進路相談のような授業です。それをどのくらいやるかというと、三十数名の制作生それぞれとそこそこみっちり相談するので、今年は8時間くらいでした。ちなみにそれ以外にもさやわか先生による振り返り講義やストーリーの作り方講義もあったので全体では11時間の授業となっていました。えーと、前回の授業 も10時間を超えていたような…
他人の進路相談を8時間聴いてるの地獄なのでは…とお思いでしょう。ところがそれが意外とおもしろいというか、励まされるというか、感動するというか、すくなくとも僕には地獄ではなく他には絶対にないような「授業」になっているなと思いました。
個人面談のなかでさやわか先生はあなたはこうだからこういうのがいいよ、といった助言は原則しません。どんな感じの活動ができるようになりたいですかね、そのためには12月までに「絶対やること」を何にしますかね、ということを制作生の状況や悩みを腑分けしながら聞き取っていきます。思うにこのひらめき回というのは、制作生がいわば「自分に課題を出す」授業で、これまでゲスト講師に出題されたのと同じように、受講生としての自分に対して適切な課題を出すことで、ひいては自分はマンガで誰のために何をするのかを考えるプラクティスになっているのではないかと思いました。
しかもそれだけではなく、このゲンロンカフェの壇上で行われる個人面談と制作生が自分に出した課題というのが、聴講している生徒にとっては「制作生のこの授業における課題提出作品」に見える、というのがさらにおもしろいところだと思ったのでした。これ、この文章だけ読んでもなんのことだかわからないと思いますが、そうなんです。だから地獄ではなくおもしろかったんです。大井先生がどこかでひらマンで「ひらめき回」が一番おもしろい、ということをおっしゃっていた気がするんですが、なるほどこういうことかと思いました。
それぞれの制作生がみずからの条件と向きあった、12月までの、あるいは今後マンガにかかわるための「自分への課題」を出題していました。なんにんかの方の「自分への課題」には感動すら覚えました。12月の「課題提出作品」も楽しみにしたいと思います。
さて、コトバとして抜き出したのは8時間の個人面談のあとに続いたさやわから先生による「『ストーリー』=物語の骨格の作り方」という講義からのもの。「固有の設定」「テーマ」「固有の主役級キャラ」「見どころとなるシーン」という4つの要素にキーワードを差し込みながら肉付けしていくストーリーの制作法において、いちばん最初に決めやすいのがテーマで、テーマというのはつまるところ「みんなそう思っていること」でしかないのでそこに作者の創意は必要ない! ググればいい! という目からウロコのお話でした。