
【第8期】さやわか先生&大井昌和先生による質疑応答のコーナーNo.2
ひらめき☆マンガ教室では受講生の学びを深めるために受講生専用の質問フォームを設けております。本コーナーでは「ひらめき☆マンガ+で公開可能」なものとしてフォームに投稿いただいた質問の一部を、皆さまにお届けいたします!
今回は《自分の作品や活動を考えるときのコツ》についての質問と回答をお伝えします。
質問者:山本むささん
<質問内容>
前回の講義の際、「今後も二次創作メインでやっていきたい」と回答しましたが、講義や打ち上げでみなさまとお話をする中で一次創作をやって持ち込みをしたり、賞へ応募したりしたいという意欲が芽生えました。まずは受講料と同じだけの賞金(や報酬?)をもらうことを目標にしてみようと思っていますが、マンガ賞についての印象もぼんやりしておりどう動き出したらいいのかがわからないことに気がつきました。
例えば、そもそもマンガ賞の受賞作品がどう言う基準で選考されているのかの調べ方や、どの雑誌や出版社が自分に向いているのかを調べるための第一歩がわからないでいます。
そこで、
①商業マンガでのデビューを目指すにあたって、わからないことを調べるためのコツや考え方のコツ
②持ち込みのやり方や媒体の選び方で迷った時に気をつけると良いこと
③(もし教えていただけるのであれば)マンガ賞を取るマンガとはどういうマンガなのか
の3点をお聞きしたいです。
お忙しいところ恐れ入りますがどうぞよろしくお願いします。
<さやわか先生からのご回答>
山本むささん、ご質問をありがとうございます!マンガ賞や、自分の作品がどんな媒体に向いているかを、どうやって考えるべきか、についてですね!
ご質問の内容について考えることは、つまりは「自分の作品を誰が読むのか」を考えることにつながり、つまりは「読む相手が理解しやすい/喜んでくれる」作品を目指すことになるので、結果的に、表現の質を上げることになります。だから、それらについて考える気持ちが芽生えたとおっしゃるのは、僕は、とてもいいことだと思いますよ!
しかし、では、具体的にそれらをどうやって考えたらいいでしょうか。これにつきましては、今後ひらめき☆マンガ教室で実際にお話していくと思いますので、そちらもぜひ、参考にしていただきたいです。ただ、現状で申し上げられることとして、以下、いただいたご質問にお答えする形で、書かせていただきますね。
まず①ですが、わからないことについては、個人的に一番オススメなのは、ひらめき☆マンガ教室で講師陣に尋ねることです。これはまあ、僕自身が講師だから、そりゃ、僕としては、そう思いますよねw
しかし、なぜひらめき☆マンガ教室で訊くことがオススメかというと、まず第一に、ひらめき☆マンガ教室の講師陣は、山本さんがどういう人であり、どういう意図でご質問なさっているのか、細かく考えながらお返事できるから、だと言えます。
もちろん、インターネットなどを見ても、商業マンガを目指す方法としていろんな意見が言われていますし、実際に正しいことも多いです。SNSで質問に答えてくれる人もいるでしょう。が、それらは必ずしも山本さん自身にカスタマイズされた答えとは限りません。
つまり、ネットなどで得られる意見は、たとえば、まさに今回、山本さんが書かれていたように、「今後も二次創作メインでやっていきたいと思っていたけど、一次創作をやって持ち込みをしたり、賞へ応募しつつ、まずは受講料と同じだけの賞金をもらうことを目標にしよう」という動機の温度感を、十分に考えて答えてくれるわけではない、ということです。
しかしひらめき☆マンガ教室であれば、山本さんの現状やご自身の方針を考えつつ、「だったらまずは、こういうやり方をやってみてはどうですか?」みたいなことを、ご提案できるかもしれません。また「山本さんがこういう作品を描いているなら、じゃあこういう媒体を目指してみては?」みたいなことも言えるはずです。占いみたいにズバッと言い切るかどうかはわかりませんが、少なくとも、時間をかけて一緒に考えることができます。
その意味では、今回、さっそく質問フォームを使ってご質問いただいたのは、とてもいいことだと思いました!ではそれを踏まえつつ、さらにひらめき☆マンガ教室という場を活用する方法についてですが、オススメなのは、複数の講師陣にいろんな意見を聞いてみることだと思います。
山本さんの目指す最適解が現状、どういうものなのかわからないからこそ、いろんな人の意見を聞くことは大事だと、僕は思います。その点で、常に多数のプロ作家がゲスト講師として月替りで登場し、また大井さんや濱田さんも頻繁に顔を出す、ひらめき☆マンガ教室という場は、利用価値があると思います。要するに、ネットなどで質問するよりも、手っ取り早く、プロの意見をだだっと聞けてしまうということです。
しかも現地で参加すれば、口頭で、対話しながら質問ができるわけですね。ネット上でやり取りすると、細かな質問のニュアンスが伝わりにくかったり、追加で質問するのがためらわれたりしますが、口頭なら、文字通り、話が早いです。もし、今後も会場にいらっしゃるようであれば、空き時間なども利用しながら、ぜひ積極的にご相談ください。もちろん、質問フォームでも構いません。ご自身のやりやすいやり方で、やってみてください!
続いて②についてです。
「持ち込みのやり方や媒体の選び方で迷う」という場合に、ひらめき☆マンガ教室が最初にオススメすることとしては、「迷うくらいなら、大手の出版社から順に選んでいけばいいですよ」ということです。つまり、集英社、小学館、講談社といういわゆる三大出版社にしましょう、ということです。それら3社を調べて、どれが自分に合うのか考えて持ち込みをすればいいし、それもわからなければ3つ全部に持ち込んだっていいのです。3大出版社というのは、まず編集者の質が高く、新人作家を育てるための余裕も経験もあります。つまり、作家の成長につながりやすいです。大手である程度育ててもらい、マンガがうまくなってから、デビューは他社でしたって全く問題ありません。
そして、大手はお金があるので幅広い企画を扱うことができるため、中小の出版社でやっているテーマも結局は大手がカバーできることになります。中小が得意なこととしては、必ずしもヒット作を目指さなくていいとか、連載が通りやすい、みたいなこともありますが、その代わりに、それだけ作家自身でやらなきゃいけない部分が大きくなる傾向はあります。
もちろん、大手に合わない作家もいます。が、何もわからないくらいなら、まずは上から順にやっていく、すなわち大手から中小へと順番に持ち込みをしていくやり方でいいのではないでしょうか。そして、それにプラスしてオススメなのは、大手に行った結果、編集者からされたアドバイスなどをよく覚えておき、「こういうことを言われた」と、ひらめき☆マンガ教室の講師陣に共有することです。もし、そのアドバイスが正しければ「それはけっこういいアドバイスだ。そいつはいい編集者だ」とか言いますし(先日の講義では講評時に須澤さんがそう言われていましたね)、わかりにくいアドバイスだったとしたら「たぶんそれはこういう意味だ」とか噛み砕いてお教えすることもできるはずです。もちろん、おかしなアドバイスだったら「そいつは怪しい奴だ。変な編集者だ」と言うかもしれません。
いずれにしても、ひらめき☆マンガ教室にいる間は、山本さんは一人ではない、ということです。たくさんの講師陣が、バックアップできます。だから、ここにいる間に持ち込みを行い、どういうことを言われたかを教えてくだされば、持ち込みの不安を軽減しつつ、自分の目的(この場合はマンガ賞の受賞)に向けて次のステップを目指せると思います。大手出版社に持ち込みに行くなんて、そんなの無理だ!という方も多いはずですが、でも、ひらめき☆マンガ教室にいるあいだなら、とりあえず物見遊山でチャレンジできるかもしれない、と思ってほしいわけです。ひらめき☆マンガ教室の期間は1年間しかないので、ぜひその間に、この教室のシステムを活用していただければ、うれしいです!
最後に、③についてです。
僕はたまに「ひらめき☆マンガ教室に通えば、マンガ賞くらいは取れる」と言います。言い換えると、「マンガ賞を取る方法」というのは、存在するわけです。少なくとも、奨励賞から佳作くらいであれば、絶対にそう言えます。「大賞」クラスになるとそれにプラスしなければならない要素が必要になるので難しくなってきますが、それでもノウハウはお教えできます。
では、まず「奨励賞から佳作くらい」というのはどういうものかというと、「最低限のマンガの文法を身に着けており、物語として破綻がなく、意味がわかり、読みやすい」ということになります。つまりは「気を配ってマンガを描こうとしている」という程度のものが、これに当たります。佳作くらいになると、それを意識的にやっていること、つまり「誰が読んでも意味がわかるように心がけていることがわかる」みたいな感じになると思います。
物語としての破綻のなさとか、マンガとしての読みやすさというのは、気をつけて描けば、または知識として知っていれば、どんな人でもある程度であれば、描けるようになることです。だから、それを頑張ってやっていれば、「ひとまずは」OK、ということになります。
言い換えると、この段階では必ずしも「アイデアが面白い」とか「絵が上手い」とかがなくてもいいのです。もちろん、そうであるに越したことはありませんし、僕に言わせればマンガ賞に応募する人は、誰もが、アイデアや絵はお上手です。だからこそ、みんながあまり気にしていない(だけど実はとても大事な)読みやすさや破綻のなさに気をつければ、他の応募者よりも優れた作品が描ける、すなわち、奨励賞から佳作くらいであれば取れるようになる、というわけです。
では、なぜそうした作品が好まれるのでしょうか?つまりは、そういう原稿が描ける作家は、「読者のことを考えてくれる」人だからです。商業マンガは売り物なので、作家が好き勝手に描いて、読者がわからなくても構わないというのではなく、ちゃんと読者、すなわち自分のお客さんに向き合ってくれる人を探しているわけですね。
そうではない、作者の自由な想像力を大事にするマンガ賞も世の中にはありますが、結果的にそういうマンガ賞でも、作家自身が最低限の読みやすさを意識して描いている作品が受賞に至るので、マンガ賞を目指すことで自分のマンガの能力を向上させたいと考えるのであれば、ひとまずは上記したようなことを意識するといいかなと思います。
ご質問へのお答えとしては、だいたい以上になるかと思います。もし、よろしければ、活動の参考になさってください!
<大井先生からのご回答>
山本むささん
ご質問ありがとうございました〜。回答者の大井昌和です、1年間どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
さて今回のご質問ですが、基本的にこれからひらめき⭐︎マンガ教室で行われるさやわか先生の「ひらめき」回で行われる話そのものですので乞うご期待という感じなのですが、それの予習として自分なりにお答えしていきます。
①においてはわからないこと、考え方、を超具体的に言葉にしておく。コマの大きさなのか配置なのか?
マンガの線か、お話か、ジャンルか、それらのわからない事象を自分なりに書き出しておくと授業中も聞きやすいと思います。また考え方も同様に、デビューにおいて何についての考え方か、原稿料か持ち込みの仕方か、編集者と話し方か。そしてそれらはさやわか先生の授業で間違いなくお話しされるでしょう。
②これはおそらく①に含まれると思います。
③これも①と同様なのですが、媒体の特性や傾向を理解した後の話になると思いますので、第一回の授業でさやわか先生がお話しされていた「いっぱい漫画を読む」を実践して①をしておく、というのはこれからのひらめき⭐︎マンガ教室に役に立つと思います。
1年間しかないとというふうに思われるかもしれませんが、1年間先生たちのお話を咀嚼する時間でもありますので、是非頑張ってください〜。
以上です!
本コーナーは不定期配信となります。
更新があった際にはSNSなどでも通知いたしますのでぜひお読みください🌴
おわり