
【アニメ】劇場アニメ『ベルサイユのばら』を観たよ【No.6】
何か映画でも見ようかと思ってシアターのHPを眺めていたら存在を認知した、という理由だけで見たところの劇場アニメ『ベルサイユのばら』の話。これが意外とちゃんとしていて、得した気分になった。
ベルばらを2時間でやるということで、作りとしては完全にダイジェストである。とはいえ、それならそれで楽しんでもらおうとする工夫や、だからこそできる再解釈を試みようとする意図は伝わってきたので、ダイジェストであることそれ自体をネガティブには感じなかった。
劇場で描かなかった部分について往年のファンがいろいろなことを言っているのは知っているし、その気持ちは正直わかる。とはいえ、原作のまんまをこのご時世にやれば当時見過ごされていたアレコレが目につかざるを得ないだろうし、ぼくは仕方のない判断だったように見えた。
画面にもそういう意味でのメッセージが表れていたように思う。
例えば、冒頭に3Dメインで作ったパレードを持ってきたことがそれである。
スクリーンいっぱいに絵が広がっていて、たくさんの群衆が(3Dで)動いていて、所狭しと花が散る。これははっきり言って少し古いアニメのリッチな画面なのだが、この作品はそれを目一杯やっていた。これは原作マンガをリアルタイムで見てきたような往年のファンや、今のアニメーションを見慣れた比較的若いベルばらファンのことを考えたからこその結論であったように思えた。もっと言えば、この作品をリバイバルするにあたっては、映像面でも思想面でも、比較的新しいらしい雰囲気を出すことはできても、最先端を行くものとして取り扱うことはできないのだ、という判断があったのだと感じたのだ。
だからこそ、ミュージカルパートはどうしても舞台をオマージュしたカメラワーク(要はほとんどカメラが動かない)にしかできないし、ギャグにしかならないとわかっていても顔に線を入れて白目をむかせたカットを使ったりしなければいけなかったのだ。
ぼくはこの映画の出来が決していいとは思わないし、言わない。
が、ファンの方々から頭ごなしに非難されるような作品でもないと思った。
それをどこかに書いておきたかったのである。
おわり