【マンガ】『スターウォーク』を読んだよ【No.6】
昨年、一部SF界隈でめちゃくちゃ話題になっていた『スターウォーク』(著:浅白優作、竹書房)をやっとこさ読んだよ。いや、読んだというよりは頑張ってページをめくり切ったよ、という方が正しいか……。
「とにかく読みにくくて読みにくくて、話がおもしろいとかマンガとしておもしろいとかいうレベルの消費をすることさえ難しかった」というのが現時点での感想である。
作者の性質なのか制作手法の問題なのか、絵の作り方がマンガのソレではなくて、画面の文字を追いかけているだけなのに逐一目の流れが止まってしまう。一般的なマンガでは無意識のレベルで考えられていることも多い「視線誘導」に対する関心が著しく低いのかもしれないと感じた。
この、”記号としての図像ははっきりしてるのに目が右往左往する感じ”はちょっと前のAIマンガを読んだ時のそれに一番近い。画面の中に白い箇所がほとんどなく、吹き出しがページ全体から浮いているように見えるのも読みづらさに加担していると思う。さらには、基本的なコマ割りの概念が薄く、1ページを四コマに割ってとりあえず吹き出しは左右に置いておいたかのような、ひどく構造的なつくりをしているのも、ぼくにとっての読みづらさにつながった。この手の要素を羅列していくとまだまだあるのだが、ほかにぽっと浮かんでくるのでは背景に対するカメラ距離とキャラクターに対するカメラ距離が、異なっているために同じ情報量の線で書いてあるはずの図像がズレたレイヤーにあるものとして見えるのもあまり好みではなかった。
好意的に見れば、作品全体がつよくSF的な発想で作られているということになるのだろうが、どうもそれも徹底されてはいないように思えるのが引っかかる。
例えば、カメラがアップになったという物理的な理由だけで服の書き込みを増やしているだけのように思えるページもあるし、かと思えばSF的怪物の書き込みに釣られたのか(あるいは作画するうえで何らかの事情があるのか)、カメラが著しく遠くにあるはずの場面なのにもかかわらず服の書き込みが減らず、見開きの中でどこを見てほしいのかという意図が分からなかったりする。
とはいえ「なんか変なもん見たな」感はめちゃくちゃあるので、このマンガを違和感なくふつーに読める人が近くにいたらどういう読み方をしているのか聞いてみたい。きっとぼくが全く見えていない表現の世界がそこにあるはずだから。
おわり