【放談】『漫画原論』(著:四方田犬彦、ちくま学芸文庫)を読んだ【No.11】
7月20日に行われたWS「マンガの読み方・評し方」の質疑応答で話題に上がった四方田犬彦さんの『漫画原論』を読んだ。
つまりは今まで読んだことがなかった。
少し悲しくなるが、勉強するってそういうもんだし機会があってちゃんと知ることができたのでヨシとする。
90年代に書かれたマンガ論の例にもれずいちいち単語が難しい。そのため読破するには苦労した。幸いなことに各章は短いため、まとめ読みをせず少しずつ立ち向かっていくことで楽しさを維持して読み終えられた。
あとがきに「(中略)漫画を読む人であれば当然知っているような事柄だけを、できるだけ正確に書き記しておこうと心掛けてきた」とあるように、画面、運動、コマ、速度などなどマンガを形作る諸要素について一つ一つを丁寧に書き記してあり、読んでみればそりゃそうだよねと感じるようなことをつぶさに残してくれていた。
大変助かる。ありがとうございますと伝えたい。
一方で正しさばかりがあるこの本は、1億総クリエイター化が進む現代においてはかえって読まれないだろうなとも感じてしまった。あまりにも正しいことばかり書いてあるので、マンガを描いたりマンガを日常的に読んだりすることができる人間であればその経験を通して学んだ方が早いのではなかろうか。
というわけで、いろいろと中途半端な人間であるところのぼくにはとても勉強になるし必要な本であった。
この本と出合う機会をくれた質問者と授業に大感謝である。
らぶ。
おわり